Z世代(おおむね1997〜2012年生まれ)の採用と定着で最も重要なのは、「安定」と「楽しさ」を同時に求める価値観を理解し、選考と入社後の両方で「ここで働く自分」を具体的に想像できる情報を出すことです。マイナビの2027年卒調査では、企業選択のポイントとして「安定している会社」が55.4%で8年連続トップ、就職観では「楽しく働きたい」が40.2%と初めて4割を超えました。一方で大卒の3年以内離職率は33.8%、従業員5人未満の事業所では57.5%に達しており、「採る」だけでなく「残る」設計が欠かせません。

本記事では、最新の調査データからZ世代の価値観を読み解き、中小企業が採用と定着のためにやるべき7つのことを、具体的な施策レベルで解説します。

この記事でわかること

  • Z世代が企業に求めるもの・避けるものの最新データ(2027年卒調査)
  • Z世代が早期離職する構造的な理由と、企業規模による離職率の差
  • 中小企業がZ世代の採用・定着のためにやるべき7つのこと

Z世代とは?採用の文脈での定義

Z世代は一般に1990年代後半から2010年代初頭に生まれた世代を指し、2026年時点で10代半ばから20代後半にあたります。物心ついたときからスマートフォンとSNSがあり、情報を「検索する」より「流れてくる」ものとして受け取ってきた世代です。採用の文脈では、新卒採用のほぼ全員と、第二新卒・20代の中途採用の大半がZ世代に該当します。

ただし「Z世代はこういう人たち」と一括りにするのは危険です。以下で紹介するデータはあくまで傾向であり、採用の現場では目の前の候補者個人を見ることが前提です。

データで見るZ世代の価値観:安定志向と「楽しく働きたい」の共存

Z世代(2027年卒)が企業に求めるもの。安定している会社55.4%、給料の良い会社26.6%、やりたい仕事ができる会社25.5%、楽しく働きたい40.2%、NGはノルマがきつそう39.2%、転勤が多い33.3%
Z世代(2027年卒)が企業に求めるもの(出典:マイナビ「2027年卒大学生就職意識調査」n=37,160)

マイナビ「2027年卒大学生就職意識調査」(37,160名回答)から、Z世代の価値観を示す数字を整理します。

項目数値読み解き
企業選択「安定している会社」55.4%(8年連続1位)倒産や物価高のニュースを見て育ち、まず「潰れない・給料が出る」を重視
企業選択「給料の良い会社」26.6%(5年連続増)物価高の影響で給与への関心が年々上昇
就職観「楽しく働きたい」40.2%(初の4割超)安定だけでなく、仕事そのものの楽しさ・人間関係を求める
就職観「収入さえあればよい」9.1%(10年前の3倍)仕事に自己実現を求めない層も一定数存在
行きたくない「ノルマがきつそうな会社」39.2%数字で追い詰める職場は最初から候補外
行きたくない「転勤が多い会社」33.3%(6年連続増)生活拠点を変えたくない。共働き希望は男子68.1%・女子74.3%
中堅・中小企業志向44.0%(2年連続増)大手志向(50.9%)は減少傾向。中小企業にもチャンスがある

一見矛盾する「安定」と「楽しさ」は、Z世代の中では両立しています。「潰れない会社で、気の合う人たちと、納得できる仕事をしたい」——これが平均的なZ世代の就職観です。中小企業にとって重要なのは、「安定」を売上規模や知名度ではなく、「事業が続いている理由」「人が辞めない理由」として説明できるかどうかです。

Z世代はなぜ辞めるのか?離職率と規模の関係

大卒3年以内離職率(事業所規模別)。5人未満57.5%、5〜29人52.0%、30〜99人41.9%、100〜499人33.9%、500〜999人31.5%、1000人以上27.0%、全体33.8%
大卒3年以内離職率(事業所規模別)(出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」)

厚生労働省が2025年10月に公表したデータでは、令和4年3月卒の大卒3年以内離職率は33.8%。事業所規模別に見ると、5人未満で57.5%、5〜29人で52.0%、30〜99人で41.9%と、規模が小さいほど離職率は高くなります。産業別では宿泊・飲食サービス業(55.4%)、生活関連サービス・娯楽業(54.7%)が高水準です。

小規模企業で離職率が高い理由は、「Z世代が根性なしだから」ではありません。構造的な要因が3つあります。

  1. 同期・ロールモデルがいない:相談相手や「3年後の自分」が社内に見えない
  2. 教える仕組みがない:OJTが「見て覚えろ」になりがちで、成長実感を得にくい
  3. 入社前の情報が少ない:求人票と実態のギャップが大きく、「聞いていた話と違う」が起きやすい

マイナビ「転職動向調査2026年版」でも、転職理由の上位は「給与が低かった」(23.2%)、「仕事内容に不満があった」(21.0%)、「職場の人間関係が悪かった」(20.0%)。いずれも入社前の情報開示と入社後のコミュニケーションで一定程度は防げるものです。

中小企業がZ世代の採用・定着のためにやるべき7つのこと

1. 「安定」を自社の言葉で説明する

創業年数、継続している取引先、黒字が続いている理由、離職率の実績——規模に関係なく語れる「安定の根拠」を求人票と面接で明示します。「アットホーム」より「創業12年、主要取引先の8割が5年以上の継続取引」のほうがZ世代には響きます。

2. 給与レンジと昇給の仕組みを求人票に書く

「給料の良い会社」を求める層は年々増えています。金額そのもので勝負できなくても、「初年度◯万円、2年目の平均◯万円、評価は年2回」と透明に書くだけで、応募率と信頼が上がります。

3. 「一日の流れ」と「最初の3ヶ月」を見せる

Z世代は入社前に「働く自分」を具体的に想像したい世代です。求人票、採用サイト、面接で、配属後の一日のスケジュールと最初の3ヶ月で何を覚えるかを示します。ギャップが減れば早期離職も減ります。

4. SNSで「人」と「日常」を発信する

Z世代は企業名を検索する前にSNSで雰囲気を確かめます。社長や社員の顔が見える投稿、オフィスの日常、仕事の裏側——派手な演出は不要で、継続が価値になります。発信ゼロから始める方法は一人社長のためのSNS採用術で解説しています。

5. 選考スピードとレスポンスを「体験」として設計する

応募から返信まで3日空く、面接の合否が1週間来ない——Z世代にとってこれは「自分に興味がない会社」と同義です。応募当日の返信、面接翌日の合否連絡を標準にします。選考中のやり取りは、入社後のコミュニケーションの予告編として見られています。

6. 入社後90日の「教える仕組み」をつくる

離職の分岐点は入社後3ヶ月です。担当メンターを決める、週1回15分の1on1を入れる、「できるようになったことリスト」を一緒に更新する——仕組みは小さくて構いません。「放置されていない」と感じられることが定着の第一条件です。

7. ノルマではなく「期待と基準」で伝える

「ノルマがきつそう」は行きたくない会社の1位(39.2%)です。数字の目標がある仕事でも、「未達なら詰める」ではなく「達成のために会社が何を支援するか」をセットで伝えます。目標そのものを嫌っているのではなく、目標の扱われ方を見ています。

Z世代採用で中小企業がやりがちな失敗

  • 「若者向け」を装った求人票:絵文字や流行語より、具体的な仕事内容と条件のほうが信頼される
  • 面接で「やる気」だけを見る:行動の具体性を聞かないと、入社後のギャップが大きくなる。質問の設計は面接の進め方と質問例30選を参照
  • 採用したら終わり:入社後の放置が最大の離職要因。採用と定着は一続きの活動
  • 「最近の若者は」と一般化する:世代論より、目の前の候補者が何を大切にしているかを聞く

Z世代採用の実務を回す体制をどうつくるか

ここまでの施策に共通するのは、「情報を出す」「早く返す」「継続する」の3つです。どれも難しいことではありませんが、専任の採用担当がいない会社では「続かない」のが最大の壁になります。株式会社イノベルの助っ人人事は、求人票の作り込みから媒体運用、スカウト、応募者への即日返信、日程調整、内定フォローまでを月額150,000円〜(税別)で代行し、貴社は面接と受け入れに集中できる体制をつくります。

よくある質問

Z世代が企業選びで最も重視することは何ですか?

マイナビ「2027年卒大学生就職意識調査」では「安定している会社」が55.4%で8年連続1位です。次いで「給料の良い会社」(26.6%)、「自分のやりたい仕事ができる会社」(25.5%)が続きます。就職観では「楽しく働きたい」が40.2%で最多です。

Z世代の離職率はどれくらいですか?

厚生労働省の調査では、令和4年3月卒の大卒3年以内離職率は33.8%、高卒は37.9%です。事業所規模別では5人未満が57.5%、5〜29人が52.0%と、小規模な事業所ほど高くなっています。

中小企業はZ世代の採用で大手に勝てますか?

勝てる余地はあります。中堅・中小企業志向の学生は44.0%と2年連続で増加しており、「転勤が多い会社」を避ける傾向(33.3%)も地域密着の中小企業には追い風です。安定の根拠を自社の言葉で説明し、働く姿を具体的に見せることが鍵になります。

Z世代の定着のために最初にやるべきことは何ですか?

入社後90日間の「教える仕組み」をつくることです。メンターの指名、週1回の短い1on1、できるようになったことの可視化——小さな仕組みで「放置されていない」状態をつくることが、早期離職を防ぐ最も確実な方法です。

まとめ:Z世代の採用は「正直な情報」と「続く仕組み」で決まる

Z世代は「安定」と「楽しさ」を同時に求め、ノルマと転勤を避け、中小企業にも目を向け始めています。採用で勝つ鍵は、安定の根拠・給与・一日の流れを正直に出し、選考を速く回すこと。定着の鍵は、入社後90日の教える仕組みです。どれも規模に関係なく実行できます。

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参考資料

  • マイナビキャリアリサーチLab「2027年卒大学生就職意識調査」「転職動向調査2026年版(2025年実績)」
  • 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」