内定辞退を防ぐ鍵は、「内定を出す前」に志望度と条件のすり合わせを終えておくこと、「内定を出した後」に放置せず定期的な接点を持つこと、そして選考全体のスピードを上げることの3つです。リクルート就職みらい研究所の調査では、新卒の内定辞退率は4月時点で39.7%、最終的には6割を超えます。中途でも複数内定を持つ候補者が増え、中小企業にとって「内定=採用成功」ではなくなりました。

本記事では、内定辞退率の最新データ、辞退が起きる5つの原因、内定前・内定後・入社直前の各フェーズでできる具体的な対策、そして辞退されたときの対応までを解説します。

この記事でわかること

  • 内定辞退率の最新データ(新卒・中途)と辞退が起きるタイミング
  • 内定辞退が起きる5つの原因
  • 内定前・内定後・入社直前の3フェーズでできる辞退防止策
  • 内定者フォローの具体的なスケジュール例

内定辞退率の現状:新卒は最終的に6割超、中途も油断できない

新卒の内定辞退率の推移。2026年卒は2月1日21.1%、3月1日31.3%、4月1日39.7%、2025年卒は9月1日時点で66.9%
新卒の内定辞退率は時間とともに上がる(出典:リクルート就職みらい研究所「就職プロセス調査」)

リクルート就職みらい研究所「就職プロセス調査」によると、2026年卒の内定辞退率は2月1日時点で21.1%、3月1日で31.3%、4月1日で39.7%(前年同期比+5.3ポイント)と上昇を続け、前年の2025年卒では9月1日時点で66.9%に達しました。学生1人あたりの平均内定辞退企業数は3.4社で、辞退が集中するのは8月(約47%)と9月(約27%)です。

中途採用の内定辞退率は1割弱(2022年実績で7.9%)と新卒より低いものの、マイナビの調査で正社員の転職率は7.6%と過去最高を記録しており、良い候補者ほど複数社の選考を同時に進めています。「内定を出したのに他社に行かれた」は、もはや特別なことではありません。

内定辞退が起きる5つの原因

原因1:第一志望の他社から内定が出た

最も多い理由です。ただし「他社に負けた」のではなく、「他社の方が早く・具体的に・熱意を持って口説いた」ケースが大半です。知名度や給与で劣っていても、対応の速さと誠実さで選ばれることは珍しくありません。

原因2:条件のすり合わせ不足

給与・勤務地・働き方・入社日の条件が、内定を出してから初めて具体的になると、「思っていたのと違う」で辞退されます。条件は面接の段階で確認し、内定時には合意済みの状態にしておくのが鉄則です。

原因3:選考中の対応で信頼を失った

応募から返信まで3日、面接結果が1週間来ない、面接官が履歴書を読んでいない——候補者は選考中の対応を「入社後の扱い」の予告編として見ています。マイナビの調査では応募から内定までの平均は約13日で、これより遅い会社は比較の中で不利になります。

原因4:内定後に放置された

内定から入社まで数週間〜数ヶ月空く間に連絡がないと、候補者の不安は膨らみます。「本当にこの会社でいいのか」と考える時間を与えるほど、他社や現職の引き止めに気持ちが揺れます。

原因5:家族・現職の引き止め

中途採用では現職のカウンターオファー(昇給・異動の提示)、新卒では家族の意見が辞退につながります。候補者本人だけでなく、周囲を安心させる情報(会社の安定性、キャリアの見通し)を渡しておくことが必要です。

フェーズ別:内定辞退を防ぐ具体策

内定前:志望度と条件を「見える化」する

  • 面接で「他に選考中の企業」「意思決定の軸」「入社可能時期」を必ず聞く(面接の質問例30選の D-23〜26)
  • 最終面接の前に、給与レンジ・勤務条件・入社日を口頭で合意しておく
  • 最終面接では社長・経営者が直接「あなたに来てほしい理由」を伝える
  • 面接から合否連絡までを3営業日以内にする

内定時:条件を書面で、期限は短く、理由は具体的に

  • 内定通知と同時に労働条件通知書(または内定承諾書)を渡し、条件の認識ズレをゼロにする
  • 承諾期限は1週間程度。長すぎると他社比較の時間を与え、短すぎると不信感を生む
  • 「なぜあなたを採用したいのか」を、面接で聞いた具体的な発言を引用して伝える
  • 質問や不安があれば連絡できる窓口(担当者の名前と連絡先)を明示する

内定後〜入社:90日間の接点設計

タイミングやること目的
内定承諾の当日代表・配属先の上司からお礼のメッセージ「歓迎されている」実感
1週間後入社日までの流れ・必要書類・初日の予定を案内不安の解消
2〜3週間後配属チームとのオンライン面談や食事会人間関係の先取り
1ヶ月後業界ニュースや社内の出来事を共有(月1回の定期連絡)接点の維持
入社2週間前初日の流れ、持ち物、当日の連絡先を再案内直前辞退の防止
入社1週間前上司から「初日に会えるのを楽しみにしている」と一言最後の後押し

ポイントは「定期的に、負担のない接点」です。課題を出す、研修を強制するといった重い接点は逆効果になります。

辞退されたときにやるべき2つのこと

  1. 理由を聞く:責めるのではなく「今後の改善のために」と断って率直に聞く。条件・スピード・対応のどこで負けたかが分かる
  2. 関係を切らない:丁寧にお礼を伝え、「またご縁があれば」と伝える。半年〜1年後に再応募・紹介につながるケースは少なくない

辞退の理由を記録して、選考フローのどこで失っているかを数字で見る仕組みは採用KPIの設計と歩留まりの目安で解説しています。

内定辞退を減らす「速さ」と「丁寧さ」を両立する体制

内定辞退の防止策は、どれも特別な予算を必要としません。必要なのは「応募当日に返信する」「面接翌日に結果を出す」「内定後も月1回連絡する」という運用を、誰かが確実に回すことです。採用担当のいない中小企業では、この「確実に回す」が最大の壁になります。株式会社イノベルの助っ人人事は、応募者対応・日程調整・内定後のフォロー連絡までを月額150,000円〜(税別)で代行し、貴社は面接と口説きに集中できます。

よくある質問

内定辞退率の平均はどれくらいですか?

新卒では、リクルート就職みらい研究所の調査で2026年卒の内定辞退率は4月1日時点で39.7%、前年の2025年卒は9月1日時点で66.9%でした。学生1人あたり平均3.4社を辞退しています。中途採用の内定辞退率は1割弱(2022年実績で7.9%)と新卒より低いものの、中小企業では複数社から内定を得た候補者に辞退されるケースが増えています。

内定辞退が起きる主な理由は何ですか?

他社(第一志望)からの内定、条件面(給与・勤務地・働き方)の不一致、選考中の対応への不信感(連絡が遅い・面接官の態度)、内定後に放置されたことによる不安、家族の反対などが主な理由です。中小企業では「連絡の遅さ」と「内定後の接点不足」による辞退が多く、どちらも社内の運用で防げます。

内定辞退を法的に止めることはできますか?

できません。内定は「始期付解約権留保付労働契約」とされ、候補者は民法の規定により入社日の2週間前までに申し出れば辞退できます。辞退を防ぐ唯一の方法は、候補者が「この会社に入りたい」と思い続ける状態を、内定から入社までつくることです。

内定を出すタイミングはいつが適切ですか?

最終面接から3営業日以内が目安です。1週間を超えると「本当に採りたいのか」と候補者の志望度が下がります。中途採用では最終面接の当日〜翌日に内定を出す企業も珍しくありません。

まとめ:辞退は「内定後」ではなく「応募時」から始まっている

内定辞退の多くは、選考中の対応の遅さ、条件のすり合わせ不足、内定後の放置という「運用の問題」で起きています。志望度と条件を内定前に見える化し、内定は3営業日以内に出し、内定後90日は月1回以上の軽い接点を持つ——この3つを徹底するだけで、辞退率は目に見えて下がります。体制づくりのご相談は無料相談からどうぞ。

参考資料

  • リクルート就職みらい研究所「就職プロセス調査(2026年卒・2025年卒)」
  • マイナビキャリアリサーチLab「転職動向調査2026年版」「中途採用状況調査2025年版」