結論から言うと、2026年の採用市場は「人手不足が採用難の段階を超え、企業の存続リスクになった」年です。帝国データバンクの調査では、人手不足を要因とする倒産は2025年に427件と3年連続で過去最多を更新し、2026年上半期も227件で上半期として最多を記録しました。しかもその77.5%は従業員10人未満の小規模企業で起きています。

本記事では、中小企業の経営者・採用担当者が「いま何が起きているか」を数字で把握できるよう、公的統計と主要調査から10の数字を厳選し、それぞれが採用戦略にどう影響するかを解説します。出典はすべて一次情報(帝国データバンク、厚生労働省、リクルート、マイナビ)に基づいています。

2026年の採用市場を読む10の数字(人手不足倒産427件、正社員不足51.3%、有効求人倍率1.18倍など)
2026年の採用市場を読む10の数字(出典:帝国データバンク/厚生労働省/リクルート/マイナビ)

この記事でわかること

  • 人手不足倒産・求人倍率・採用コストなど、2026年の採用市場を示す最新データ10個
  • なぜ小規模企業ほど人手不足の影響を受けやすいのか
  • データから導かれる、中小企業が今すぐ取るべき3つの採用方針

数字1:人手不足倒産は427件、3年連続で過去最多

帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年)」によると、従業員の退職や採用難によって事業継続が困難になった「人手不足倒産」は2025年に427件。2023年の260件、2024年の342件に続き、3年連続で過去最多を更新し、初めて年間400件を超えました。コロナ前の最多だった2019年(192件)と比べると2倍以上の水準です。

人手不足倒産の推移グラフ。2019年192件、2022年140件、2023年260件、2024年342件、2025年427件、2026年上半期227件
人手不足倒産の推移(出典:帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査」各年版、倒産集計2026年上半期報)

業種別では建設業が113件と初めて100件を超え、物流業(52件)、老人福祉事業(21件)が続きます。要因別に見ると、賃上げ負担に耐えられなかった「人件費高騰型」が152件(前年比43.3%増)、中核社員の退職で回らなくなった「従業員退職型」が124件で、いずれも過去最多です。

数字2:2026年上半期だけで227件、上半期として最多

2026年1〜6月の人手不足倒産は227件で、前年同期(202件)比12.4%増。上半期として過去最多を更新しました。企業倒産全体も5,335件(前年同期比6.6%増)と2年連続で5,000件を超えており、物価高倒産(556件)と人手不足倒産の「二重苦」が中小企業を直撃している構図です。

数字3:倒産企業の77.5%は従業員10人未満

2026年上半期の人手不足倒産227件のうち、従業員10人未満の企業は176件(77.5%)。2025年通年でも77.0%と、ほぼ8割が小規模企業です。理由は単純で、10人の会社で2人が辞めれば戦力の2割を失い、補充できなければ受注を断るしかないからです。大企業なら「採用が遅れる」で済む問題が、小規模企業では「事業が止まる」問題になります。

小規模企業にとって採用は「人事の仕事」ではなく「事業継続の仕事」である——これが2026年のデータが示す最大のメッセージです。

数字4:正社員が不足している企業は51.3%

帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」では、正社員が不足していると答えた企業が51.3%。7月としては4年連続で5割を超えています。業種別では金融(67.1%)、建設(66.0%)、運輸・倉庫(65.6%)が突出し、6業種で6割を上回りました。

正社員不足企業の割合。金融67.1%、建設66.0%、運輸・倉庫65.6%、全体51.3%、非正社員28.8%
正社員が不足していると答えた企業の割合(出典:帝国データバンク 2026年7月調査、全国22,350社)

マイナビの「中途採用状況調査2026年版」でも、正社員の不足感を持つ企業は40.1%。注目すべきは「量的な不足」が69.6%と前年から3.7ポイント下がった一方で、「質的な不足(求めるスキルを持つ人がいない)」が55.6%と6.7ポイント上昇している点です。人数を集めるだけでなく、「欲しい人に届く」採用設計が求められています。

数字5・6:有効求人倍率1.18倍、新規求人倍率2.16倍

厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)」によると、有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍、新規求人倍率は2.16倍、正社員の有効求人倍率は1.00倍です。「1.18倍なら大したことない」と感じるかもしれませんが、新規求人倍率2.16倍は「新しく出た求人1件に対して、新しく仕事を探し始めた人は0.46人しかいない」という意味。求人を出した瞬間の競争は約2倍で、ハローワークに掲載しただけで応募が来る時代ではありません。

なお新規求人は前年同月比3.1%増で、サービス業(11.5%増)や製造業(10.4%増)が求人を伸ばしています。同じ人材を取り合う競合は、確実に増えています。

数字7・8:中途採用1人あたり103.3万円、年間採用費用の平均は609.9万円

リクルート就職みらい研究所「就職白書」の調査では、1人あたりの採用費用は中途採用で103.3万円、新卒採用で93.6万円。マイナビの2025年実績調査では、中途採用にかける年間費用の平均は609.9万円です。人材紹介を使えば成功報酬は理論年収の30〜35%が相場で、年収500万円の人材なら1人175万円かかります。採用コストの考え方と下げ方は、採用単価の相場【2026年版】で詳しく解説しています。

数字9:正社員の転職率は7.6%で過去最高

マイナビ「転職動向調査2026年版」では、2025年の正社員転職率は7.6%と調査開始以来の最高水準。転職理由の上位は「給与が低かった」(23.2%)、「仕事内容に不満があった」(21.0%)、「職場の人間関係が悪かった」(20.0%)で、転職後の平均年収は19.2万円上がっています。採用市場は「採る」競争であると同時に、「辞めさせない」競争でもあります。

数字10:大卒3年以内離職率は33.8%、5人未満の事業所では57.5%

厚生労働省の発表(令和4年3月卒業者)では、大卒の3年以内離職率は33.8%。ただし事業所規模別に見ると、5人未満で57.5%、5〜29人で52.0%と、小規模企業では半数以上が3年以内に辞めています。せっかく採用コストをかけても半分が3年で辞めるなら、採用単価は実質2倍です。若手の価値観と定着策については、Z世代の採用と定着の記事にまとめています。

データから導く、中小企業が今すぐ取るべき3つの方針

方針1:採用を「欠員が出てから」ではなく「常時」の活動にする

人手不足倒産の要因で増えているのは「従業員退職型」です。欠員が出てから求人を出しても、新規求人倍率2倍超の市場では埋まるまでに数カ月かかります。求人票を常に出しておく、スカウトを月に一定数送る、候補者との接点を切らさない。こうした「常時採用」の体制が、小規模企業ほど効きます。

方針2:媒体を1つに頼らず、複数の入口を持つ

マイナビの調査で「採用につながった」手法は、転職サイト(29.8%)、人材紹介(27.3%)、求人検索エンジン(26.5%)と分散しています。どれか1つで全員採れる媒体はありません。採用媒体の使い分けガイドで解説したように、量・質・育成の役割で媒体を組み合わせることが母集団の最大化につながります。

方針3:採用実務の「手」を外部で確保する

小規模企業で採用が進まない最大の理由は、専任の採用担当がいないことです。求人票の作成、媒体運用、スカウト、応募者対応、日程調整——これらは社長や現場責任者の片手間では回りません。正社員の採用担当を雇えば年間数百万円かかりますが、採用代行(RPO)であれば月額15万円前後から実務一式を任せられます。株式会社イノベルが2026年8月に正式リリースした助っ人人事は、面接以外の8業務を月額150,000円〜(税別)・採用成功時の追加費用0円で代行するサービスで、まさにこの「手の不足」を解消するために設計されています(PR TIMESのリリース)。

よくある質問

人手不足倒産とは何ですか?

従業員の退職や採用難、人件費の高騰など「人手を確保できないこと」が主因で事業継続が困難になった倒産を指します。帝国データバンクが負債1,000万円以上の法的整理を対象に集計しており、2025年は427件で過去最多でした。

2026年の有効求人倍率はどれくらいですか?

厚生労働省の発表によると、2026年6月の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍、新規求人倍率は2.16倍、正社員の有効求人倍率は1.00倍です。

中小企業はなぜ人手不足の影響を受けやすいのですか?

従業員数が少ないため1人の退職が戦力に与える影響が大きく、専任の採用担当がいないため補充に時間がかかるからです。実際、2026年上半期の人手不足倒産の77.5%は従業員10人未満の企業で発生しています。

採用担当がいない会社はどうすればよいですか?

求人票作成や媒体運用、応募者対応といった実務を採用代行(RPO)に任せ、社内は面接と最終判断に集中する体制が現実的です。月額制のRPOなら、正社員の採用担当を雇うよりも低コストで「採用チーム」を持てます。

まとめ:数字が示すのは「採用の仕組み化」の必要性

人手不足倒産427件、正社員不足51.3%、新規求人倍率2.16倍、転職率7.6%。2026年のデータが一貫して示しているのは、採用が「たまにやる作業」から「事業を守るための継続的な仕組み」に変わったということです。特に従業員10人未満の企業は、採用の手が止まることが直接リスクになります。

株式会社イノベルでは、採用戦略の設計から媒体運用・スカウト・応募者対応までを伴走する採用代行(RPO)と、月額定額で面接以外のすべてを代行する「助っ人人事」を提供しています。「採用担当を雇う余裕はないが、人を採らないと会社が回らない」という方は、まずは無料相談でお気軽にご相談ください。

参考資料

  • 帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年)」「倒産集計 2026年上半期報」「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」
  • 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)」「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
  • リクルート就職みらい研究所「就職白書」
  • マイナビキャリアリサーチLab「中途採用状況調査2026年版」「転職動向調査2026年版」