結論:保育士の有効求人倍率は3.10倍で、全職種平均の約2.6倍です。シフトや持ち帰り仕事の実態を求人票に具体的に書き、支援センターや養成校など複数の経路で応募を集めると採用しやすくなります。資格を登録していても社会福祉施設等で働いていない人が約123万人いるため、復職しやすい条件を示すことも有効です。
保育士の採用市場データ【2026年】
こども家庭庁と厚生労働省の公表データから、保育士の採用市場の主な数字をまとめます。
| 項目 | 数値 | 出典・時点 |
|---|---|---|
| 保育士の有効求人倍率 | 3.10倍(全職種平均1.20倍) | こども家庭庁(2025年10月実績) |
| 保育士の有効求人倍率(年度) | 3.37倍 | job tag(ハローワーク求人統計、2025年度) |
| 社会福祉専門職業従事者の有効求人倍率 | 2.50倍(職業計1.06倍) | 一般職業紹介状況(2026年8月、常用・パート含む) |
| 保育士登録者数 | 約191万人 | こども家庭庁 |
| 保育士の従事者数 | 約68万人 | こども家庭庁 |
| 登録しているが社会福祉施設等で働いていない人 | 約123万人 | こども家庭庁 |
| 保育士の賃金(年収) | 427.6万円 | job tag(令和7年賃金構造基本統計調査) |
| 保育士の求人賃金(月額) | 23.9万円 | job tag(ハローワーク求人統計、2025年度) |
| 保育士の平均年齢 | 40.3歳 | job tag(令和7年賃金構造基本統計調査) |
有効求人倍率3.10倍は、仕事を探す人1人に対して約3件の求人がある状態です。保育士を含む「社会福祉専門職業従事者」の新規求人倍率は、2026年8月に4.60倍でした。職業計の1.98倍の約2.3倍です。
一方で、保育士資格を登録している人は約191万人いて、従事者数の約68万人を大きく上回ります。資格を持ちながら社会福祉施設等で働いていない人が約123万人いる計算です。経験者の復職をどう後押しするかが、採用の大きな鍵になります。
保育士の採用が難しい3つの理由
- 有資格者の取り合いになる:保育士として働くには資格が必要です。対象者が限られるうえ、求人倍率が高いため、条件を比べられて選ばれる側になります。
- 働き方の実態が伝わらない:行事の準備、書類作成、持ち帰り仕事、残業の量は、求人票だけでは分かりにくい項目です。分からない求人は、不安の大きい求人として後回しにされます。
- 年度途中の欠員を埋めにくい:新卒の保育士は養成校を卒業する春に入職します。年度途中の欠員は、経験者や復職を考える人から探すことになります。
保育士の求人票の書き方(記載例つき)
求人票は、ほかの園と比べられる前提で書きます。特に次の項目は、言葉ではなく具体的な情報で書きます。
| 項目 | 記載例(架空の園の例) | ポイント |
|---|---|---|
| 仕事内容 | 定員60名の認可保育所で、1歳児クラスの担任(複数担任)。 | 園の規模と担当クラスを書く |
| 勤務時間 | 7時〜19時の間で実働8時間のシフト制。早番・遅番は月に各4回程度。 | シフトの回数まで書く |
| 持ち帰り仕事 | 書類作成は勤務時間内に行い、持ち帰りなし。 | 応募前の不安を消す |
| 行事 | 運動会と発表会の準備は、勤務時間内に職員で分担。 | 準備の負担を具体的に |
| ICT | 登降園の管理と連絡帳はアプリを使用。 | 事務負担の軽さを示す |
| 給与 | 基本給と処遇改善の手当を分けて記載。 | 総額だけにしない |
| 変更の範囲 | 就業場所:法人内の他園。業務:保育業務全般。 | 2024年4月から明示が必要 |
2024年4月1日から、募集時に明示する事項が増えました。追加されたのは「従事すべき業務の変更の範囲」「就業の場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準(更新上限を含む)」です。パートの求人も対象になるため、雇用形態ごとに確認します。書き方の基本は求人票の書き方で解説しています。
求人は「保育士」でひとくくりにせず、働き方ごとに分けて出すと探す人に届きやすくなります。例えば「早番中心のパート」「0歳児クラス担当の正社員」のように、仕事の中身が分かる形にします。
保育士の採用に向く媒体・チャネル
| チャネル | 特徴 | 向くケース |
|---|---|---|
| ハローワーク | 求人の掲載は無料。地域の求職者に届く。 | 通勤圏内での採用、パート |
| 保育士・保育所支援センター | 2025年10月に法定化。全国75か所(2025年12月時点)。 | 復職を考える人、ブランクのある人 |
| 養成校(大学・短大・専門学校) | 実習の受け入れや求人票の送付が接点になる。 | 新卒採用 |
| 保育士向けの求人サイト | 求職者が条件で検索し、比べながら応募する。 | 働き方に強みがある求人 |
| 人材紹介会社 | 成功報酬型が一般的。候補者の推薦まで任せられる。 | 急ぎの欠員、経験者の採用 |
| 職員からの紹介 | 園の実態を知る人からの紹介になる。 | 定着を重視する採用 |
保育士・保育所支援センターは、保育人材の確保の拠点です。こども家庭庁の資料によると、センターは2025年10月に法定化されました。2025年12月時点で、全国75か所(都道府県46か所、指定都市・中核市29か所)に設置されています。地域のセンターに求人を出しておくと、復職を考える人に届く経路が一つ増えます。
人材紹介会社を使う場合は、厚生労働省の「適正な有料職業紹介事業者の認定制度」も参考になります。医療・介護・保育分野が対象で、2021年11月に初めて認定事業者が公表されました。手数料や早期離職のときの取り扱いは、契約前に書面で確認します。
見学と面接の進め方、選考で見るポイント
- 応募の当日か翌営業日に連絡し、見学の候補日を3つ出す。
- 見学では保育の時間帯を見てもらい、担当予定のクラスの職員と話す時間をつくる。
- 面接は見学と同じ日に行い、来てもらう回数を減らす。
- 保育士資格は保育士証で確認する。
- 内定後は、配属クラスと最初の月のシフト案を早めに伝える。
| 確認すること | 質問の例 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 経験 | これまで担当したクラスの年齢と人数を教えてください。 | 配属予定のクラスとの近さ |
| 働き方の希望 | 早番・遅番は月に何回までなら続けられますか。 | 園のシフトと合うか |
| 保育で大切にしていること | 子どもとの関わりで大切にしていることは何ですか。 | 園の方針と合うか |
面接で見るのは、経験年数の長さよりも「園の方針と働き方が合うか」です。合わないまま採用すると、早い時期の退職につながります。行事の多さや残業など、合わない可能性がある点は面接で正直に伝えます。
採用代行の現場で分かっていること
中小企業の採用を支援していると、応募が来ない原因の多くは求人票の書き方にあります。保育士の求人で特に大切なのは「持ち帰り仕事なし」「行事の準備は勤務時間内」と書けるかどうかです。書ける園は、それだけで比較の土俵に乗れます。書けない園は、まず運用を見直す必要があります。
よくある失敗は、園長が保育に入っていて、応募者への返信が数日後になるケースです。保育士は複数の園を同時に見学することが珍しくありません。応募の通知を事務担当や法人本部と共有し、当日中に一次返信と見学日の提案を送る体制にすると、見学につなげやすくなります。
もう一つは、毎年同じ求人票を使い回し、処遇改善の手当が反映されていないケースです。給与の欄が古いままだと、実際より条件が悪く見えます。年度の初めと手当の改定時に求人票を見直す、という決まりをつくるだけで防げます。
よくある質問
保育士の求人倍率はどのくらいですか?
こども家庭庁の資料では、2025年10月の保育士の有効求人倍率は3.10倍で、全職種平均の1.20倍を大きく上回っています。
ブランクのある保育士に応募してもらうには?
短時間勤務や勤務日数の相談ができること、復職前の見学や研修があることを求人票に書きます。地域の保育士・保育所支援センターに求人を出す方法もあります。
求人票に処遇改善の手当はどう書けばよいですか?
基本給と手当を分けて書き、支給の条件と金額の目安を示します。月給の総額だけだと、ほかの園と比べにくくなるためです。
保育士の採用業務を外部に任せることはできますか?
面接以外の業務は採用代行に任せられます。助っ人人事は月額15万円(税抜)から、求人原稿の作成、媒体運用、候補者対応、日程調整などを代行します。
助っ人人事は月額15万円(税抜)から、面接以外の採用業務をすべて代行する月額定額制の採用代行サービスです。何名採用しても追加費用は0円、最短1週間で開始できます。