結論:飲食店スタッフの採用は、ホールとキッチンの仕事を分けて書き、シフトの条件を具体的に示し、応募にすぐ連絡することが大切です。ホールスタッフを含む「接客・給仕職業従事者」の有効求人倍率は2.31倍(2026年8月)で、採用が難しい職種です。
この記事では、厚生労働省のデータをもとに、飲食店のホール・キッチンスタッフの採用市場、応募が来ない原因、求人票の書き方、向く採用経路、面接と定着のポイントをまとめます。高校生を雇うときの労働時間のルールも紹介します。
飲食店スタッフの採用市場(2026年8月)
厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」では、全職業の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍でした。ホールスタッフが含まれる「接客・給仕職業従事者」は2.31倍、キッチンスタッフが含まれる「飲食物調理従事者」は2.21倍です。どちらも全体を大きく上回ります。
| 職業 | 雇用形態 | 有効求人数 | 有効求職者数 | 有効求人倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 接客・給仕職業従事者 | パートを含む常用 | 74,982人 | 32,495人 | 2.31倍 |
| 接客・給仕職業従事者 | パートを除く常用 | 28,422人 | 17,335人 | 1.64倍 |
| 飲食物調理従事者 | パートを含む常用 | 107,379人 | 48,526人 | 2.21倍 |
| 飲食物調理従事者 | パートを除く常用 | 39,212人 | 21,146人 | 1.85倍 |
どちらの職業も、パートを含めた倍率のほうが高くなっています。パート・アルバイトの採用で、特に人が集まりにくいことがうかがえます。パートを含む常用の新規求人倍率も、接客・給仕職業従事者は3.84倍、飲食物調理従事者は3.47倍でした。
職業の区分は総務省の日本標準職業分類によります。「接客・給仕職業従事者」には飲食物給仕従事者や飲食店主・店長が、「飲食物調理従事者」には調理人が含まれます。数字はハローワークで扱った求人と求職者のもので、求人サイトの動きは含まれません。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、ホールスタッフ(レストラン)の賃金(年収)は371万円、平均年齢は41.1歳です。令和7年賃金構造基本統計調査をもとに作成された数字です。令和7年度のハローワークの求人賃金(月額)は26.2万円、有効求人倍率は2.41倍でした。
応募が来ない飲食店に多い原因
- ホールとキッチンの区別がない:「飲食店スタッフ」とだけ書くと、接客が苦手な人も料理に自信がない人も応募をためらいます。
- シフトの条件が見えない:「シフト制」だけでは、学生や子育て中の人が自分に合うかを判断できません。
- 時給以外の条件が書かれていない:まかない、交通費、制服の貸与など、比べられる情報が少ないと選ばれにくくなります。
- 応募後の連絡が遅い:営業中は電話に出られず、連絡が翌日以降になりがちです。
- 店の雰囲気が伝わらない:一緒に働く人の年代や人数、忙しい時間帯がわからないと不安が残ります。
求人票の書き方(記入例つき)
飲食店の求人票は、仕事の中身とシフトの条件を具体的に書くことが基本です。次の表を参考に、店ごとの情報に置き換えてください。記入例の時間や回数は説明用です。
| 項目 | 書き方のポイント | 記入例 |
|---|---|---|
| 職種名 | ホールとキッチンを分ける | カフェのホールスタッフ(注文・配膳・レジ) |
| 仕事内容 | 1日の流れで書く | ランチ前に席を整え、注文を受けて料理を運びます。ピークの後は片付けとレジを担当します。 |
| シフト | 選べる時間帯と最低日数を書く | 11時〜15時、17時〜22時から選べます。週2日から相談できます。 |
| 待遇 | 時給以外を分けて書く | まかないあり、交通費支給、制服貸与 |
| 研修 | 誰がどう教えるかを書く | 最初の3回は先輩と一緒に入ります。メニューは写真つきの資料で覚えられます。 |
2024年4月から、求人票には「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準」の明示も必要です。系列店へのヘルプがある場合は、その範囲も書いておきます。
時給は最低賃金の改定に合わせて見直します。2026年度(令和8年度)の地域別最低賃金は、全国加重平均で1,177円と答申されました。前年度から56円の引上げで、10月1日から12月2日にかけて順次発効します。都道府県ごとの状況は都道府県別 有効求人倍率と最低賃金の一覧で確認できます。
高校生を雇うときのルール
労働基準法では、18歳未満の人を午後10時から午前5時までの深夜に働かせることは、原則として禁止されています。時間外労働や休日労働も、原則としてさせられません。18歳未満の人を雇うときは、年齢証明書を事業場に備え付ける必要もあります。夜の営業が中心の店は、高校生を募集するときに勤務できる時間帯を明記します。
飲食店スタッフの採用に向く媒体・採用経路
| 採用経路 | 向く募集 | 使い方のポイント |
|---|---|---|
| 求人検索エンジン(Indeed、求人ボックス、スタンバイなど) | ホール・キッチンのアルバイト、正社員 | 店舗名、最寄り駅、働ける時間帯を職種名や本文に入れます。 |
| 無料で使える機能がある採用ツール(Airワーク、engageなど) | 1〜数店舗の店 | 自社の採用ページを作り、応募の受付を一つにまとめます。 |
| 店内の掲示・自社サイト | 常連客、近所の学生 | 店を知っている人は入社後のずれが少なくなります。QRコードで応募ページにつなげます。 |
| SNS(Instagram、Threadsなど) | 若い世代、店のファン | 仕込みやスタッフの様子を発信し、募集のお知らせにつなげます。飲食店のThreads集客ガイドも参考になります。 |
| 従業員の紹介 | アルバイト | 紹介の流れを社内で決め、紹介された人にも同じ面接をします。 |
どの経路から応募が来て、誰が採用に至ったかを記録しておきます。次の募集で、どこに費用をかけるかを決めやすくなります。
面接と定着のポイント
- 面接は短く、店で行う:店内の様子を見てもらい、働く場面を想像してもらいます。
- シフトの希望を先に確かめる:入れる曜日と時間帯、テスト期間や長期休みの予定を聞きます。
- 合否は早めに伝える:面接の場で次の流れを伝え、結果を連絡する日を約束します。
- 初出勤日の担当者を決める:誰が教えるかを決め、初日に覚えることを絞ります。
- 最初の数回は声をかける:困っていることを聞き、シフトの量を調整します。
採用しても早く辞めてしまうと、募集を繰り返すことになります。入社後の受け入れまで含めて採用と考えることが大切です。
採用代行の現場で見えること
採用代行で飲食店の採用を支援するとき、最初に見直すのは応募後の連絡の流れです。店長はピークタイムに電話もメールも返せません。応募の通知が店長の個人メールに届き、気づいたのは翌日というケースがよくあります。
次に多いのが、全店舗で同じ求人原稿を使っているケースです。駅前の居酒屋と郊外のカフェでは、働く人も時間帯も違います。店舗ごとに「どの時間帯に何人足りないか」を整理し、その時間に働ける人に向けて書くと、応募の質がそろいます。
手順の例としては、まず店舗ごとに足りない時間帯と人数を表にします。次に、その時間帯を中心に求人原稿を書き分けます。応募が来たら、受付の担当者が当日中に連絡して面接日を決めます。面接の後は店長が合否を決め、受付の担当者がすぐに本人へ伝えます。役割を分けると、店長は営業に集中しながら採用を進められます。
よくある質問
飲食店スタッフの有効求人倍率はどのくらいですか?
2026年8月の一般職業紹介状況では、ホールスタッフを含む接客・給仕職業従事者が2.31倍、キッチンスタッフを含む飲食物調理従事者が2.21倍です。全職業の1.18倍(季節調整値)を大きく上回っています。
飲食店のアルバイト求人で応募を増やすには?
ホールとキッチンを分け、選べる時間帯と週の最低日数、時給以外の待遇を具体的に書きます。応募が来たら当日中に連絡し、面接日をその場で決めることも大切です。
高校生を夜まで働かせてもよいですか?
18歳未満の人を午後10時から午前5時までの深夜に働かせることは、労働基準法で原則として禁止されています。年齢証明書の備え付けも必要です。夜の営業が中心の店は、募集の段階で勤務できる時間帯を明記します。
飲食店の採用を外部に任せることはできますか?
採用代行を使えば、求人原稿の作成、媒体の運用、応募者への連絡、面接の日程調整を任せられます。助っ人人事は月額15万円(税抜)から面接以外の採用業務を代行し、何名採用しても追加費用はかかりません。最短1週間で開始できます。
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