結論:人事事務の有効求人倍率は0.97倍で、一般事務の0.29倍より採りにくい職種です。採用・労務・制度のどこを任せるかを先に決め、実務経験を選考で確かめることが採用の近道です。数字は厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)に掲載された令和7年度の値です。
人事担当の採用方法を、厚生労働省の最新データとともに解説します。採用市場の数字、人事の仕事の分け方、最近の法改正、求人票の書き方の例、向く採用経路、選考で見るポイントの順にまとめました。
人事の採用市場:人事事務の有効求人倍率は0.97倍
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、人事事務の有効求人倍率は0.97倍です(令和7年度)。同じサイトで一般事務は0.29倍のため、人事は事務職の中では求職者1人あたりの求人が多い職種です。
| 項目 | 人事事務 | 一般事務 |
|---|---|---|
| 有効求人倍率(令和7年度) | 0.97倍 | 0.29倍 |
| 求人賃金(月額、令和7年度) | 26.1万円 | 21.6万円 |
| 賃金(年収) | 525.2万円 | 541.4万円 |
| 平均年齢 | 44.9歳 | 44.6歳 |
出所は厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)です。有効求人倍率と求人賃金はハローワーク求人統計データ(令和7年度)の値です。賃金(年収)と平均年齢は、令和7年賃金構造基本統計調査を加工した値です。
求人賃金は、ハローワークの求人で示された月額の賃金です。人事事務は月額26.1万円で、一般事務の21.6万円より高い条件で募集されています。
なお、総務省の日本標準職業分類では、人事事務員は中分類「一般事務従事者」に含まれます。厚生労働省「一般職業紹介状況」で一般事務従事者全体を見ると、有効求人倍率は0.29倍です(2026年8月、常用・パートを含む)。事務職全体では求職者が多い一方、人事事務に絞ると求人と求職者がほぼ同じ数になっています。
人事の仕事は4つの領域に分かれる
「人事担当」と一口に言っても、仕事の中身は会社によって大きく違います。job tagでは、採用から退職までの手続き、勤怠や給与の確認、社会保険の事務などが人事事務の仕事とされています。募集の前に、どの領域を任せるかを決めます。
| 領域 | 主な業務 | 求める経験の例 |
|---|---|---|
| 採用 | 求人票の作成、媒体の運用、応募者対応、面接の日程調整 | 中途採用や新卒採用の実務 |
| 労務 | 勤怠管理、給与計算の確認、社会保険の手続き、入退社の手続き | 社会保険の手続きや給与計算の経験 |
| 制度・育成 | 評価制度の運用、研修の企画、異動・配置の手続き | 評価や研修の運用経験 |
| 総務との兼務 | 就業規則などの規程の管理、備品管理、社内行事 | 総務の実務経験 |
4つすべてを1人に任せる求人は、条件に合う人が少なくなります。最初に任せる領域を1つか2つに絞り、ほかは社労士や外部のサービスと分担する前提で募集すると、候補者の数を保てます。
法改正で人事の仕事は増えている
人事の採用を考えるときは、最近の法改正も確認しておきます。誰が対応するかによって、求める経験が変わるためです。
| 施行日 | 主な内容 | 人事の仕事への影響 |
|---|---|---|
| 2024年4月1日 | 募集時に明示する労働条件の追加(業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準) | 求人票の見直し |
| 2025年4月1日 | 子の看護等休暇の対象を小学3年生修了までに拡大。残業免除の対象を小学校就学前の子まで拡大。育児休業等の取得状況の公表義務を従業員300人超の企業に拡大 | 就業規則の改定、社内への周知、公表の準備 |
| 2025年10月1日 | 3歳から小学校就学前の子を養育する労働者向けに、柔軟な働き方を実現する措置を5つの中から2つ以上講じる。妊娠・出産の申出時などに、仕事と育児の両立について意向を個別に聴取する | 制度の設計、対象者への個別の周知と面談 |
中小企業では、こうした対応を人事担当1人が担うこともあります。法改正の情報を自分で調べ、社労士と相談しながら進められるかは、選考で確かめたいポイントです。
人事の求人票の書き方(例)
求人票では、任せる領域と、社内外の分担を具体的に書きます。2024年4月1日から募集時の明示が必要になった「変更の範囲」なども忘れずに書きます。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 職種名 | 人事労務スタッフ(社会保険・給与計算の確認が中心/採用業務も一部担当) |
| 仕事内容 | 入退社の手続き、社会保険の手続き、勤怠の確認、給与計算データの確認。採用では応募者対応と面接の日程調整を担当します。 |
| 体制 | 人事の人数、上長、社労士や給与計算の委託先との分担 |
| 必須条件 | 社会保険の手続きなど、労務の実務経験 |
| 歓迎条件 | 採用業務の経験、就業規則の改定に関わった経験 |
| 使用ツール | 勤怠管理システム、給与計算ソフト、採用管理の方法 |
| 業務・就業場所の変更の範囲 | 実際の運用どおりに書く(例:就業場所は本社、変更なし) |
| 働き方 | 給与締め日前後や年末調整の時期の残業の目安、在宅勤務の可否 |
求人票全体の作り方は求人票の書き方で詳しく解説しています。
人事の採用に向く採用経路
| 採用経路 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 転職サイト(求人広告) | 労務や採用の実務経験者を幅広く募集する | 担当領域を書き分けないと、経験の違う人が混ざる |
| 人材紹介 | 人事の責任者や、制度設計の経験者を探す | 採用が決まると成功報酬の費用がかかる |
| スカウト型サービス | 特定の業界や規模の会社で人事を経験した人を探す | スカウト文の作成と送信に手間がかかる |
| リファラル採用 | 社員の知人に人事経験者がいる | 選考の基準は他の経路と同じにする |
| 社内異動 | 社内の事情を知る人に任せたい | 労務の知識は研修や社労士の支援で補う |
job tagでも、人事は入社後に他部署を経験してから配属されることが多い職種とされています。外部から採る前に、社内に候補者がいないかを確かめる価値はあります。社員の紹介を使う場合はリファラル採用の進め方も参考にしてください。
選考で見るポイント
- 担当した領域と会社の規模を聞く:同じ「人事経験」でも、従業員数や担当領域で経験の中身が変わります。何名規模の会社で、どの手続きを1人で担当したかを確認します。
- 個人情報の扱い方を確認する:人事は給与や健康の情報に触れます。前職での情報管理のルールと、自分で気をつけていたことを聞きます。
- 法改正への対応経験を聞く:育児・介護休業法の改正などに、前職でどう対応したかを聞きます。調べ方と社労士との進め方が分かります。
- 社内調整の経験を見る:人事は現場の管理職と経営の間に立ちます。意見が分かれたときに、どう進めたかを具体的に聞きます。
- 採用担当なら数字の見方を確認する:応募数、面接数、内定数をどう管理していたかを聞きます。考え方は採用KPIとファネルで解説しています。
採用代行の現場で分かっていること
中小企業から「人事を1人採りたい」という相談を受けて話を聞くと、いちばん困っているのは採用業務であることが少なくありません。採用業務は、募集の時期や人数によって忙しさが大きく変わります。一方で、入退社や社会保険の手続きは毎月続く仕事です。
この2つを1人に任せる求人にすると、採用の経験者も労務の経験者も「自分の得意な仕事は半分だけ」と感じ、応募をためらいます。労務を中心に任せる人を採用し、忙しさの波が大きい採用業務は外部に任せる分け方もあります。
また、人事の採用でよくある失敗は、面接官を経営者1人だけにすることです。人事は現場の管理職と日常的にやり取りするため、現場の責任者にも面接に入ってもらうと、入社後の行き違いを減らせます。選考の連絡が遅れると、経験者ほど他社の選考を先に進めます。応募から面接までの連絡を早くする仕組みを先に作っておくことが大切です。
よくある質問
人事の有効求人倍率はどのくらいですか。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、人事事務の有効求人倍率は0.97倍です(令和7年度)。同じサイトで一般事務は0.29倍で、人事は事務職の中では採りにくい職種です。
人事は未経験者でも採用できますか。
可能です。job tagでも、人事は学歴や資格が必須ではなく、他部署を経験してから配属されることが多い職種とされています。未経験者を採る場合は、教える人がいるか、社労士の支援を受けられるかを先に確認します。
人事の求人で資格は必要ですか。
必須ではありません。job tagでは、関連する資格として社会保険労務士やキャリアコンサルタントなどが挙げられています。求人では歓迎条件にとどめると、応募の幅を保てます。
人事のうち採用業務だけを外部に任せられますか。
採用代行(RPO)を使うと、求人原稿の作成、媒体の運用、候補者対応、日程調整などを外部に任せられます。社内の人事担当は、労務や面接に時間を使えるようになります。
助っ人人事は月額15万円(税抜)から、面接以外の採用業務をすべて代行する月額定額制の採用代行サービスです。何名採用しても追加費用は0円、最短1週間で開始できます。