結論:作業療法士は有効求人倍率4.39倍の売り手市場です。対象分野と1日の流れを具体的に書いた求人票で、養成校と専門媒体を組み合わせて募集するのが近道です。選考では、経験した分野と、評価から計画を立てる考え方を確認します。

作業療法士(OT)の採用は、病院だけでなく、介護施設や障害福祉の事業所でも難しくなっています。この記事では、厚生労働省の統計と国家試験の結果をもとに採用市場の数字を確認します。そのうえで、求人票の書き方、向く媒体、選考で見るポイントを解説します。

作業療法士の採用市場を数字で見る

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)に掲載された、作業療法士の主な数字は次のとおりです。

項目 数値 調査
有効求人倍率 4.39倍 ハローワーク求人統計(令和7年度)
全職業の有効求人倍率 1.20倍 一般職業紹介状況(令和7年度平均)
求人賃金(月額) 26.9万円 ハローワーク求人統計(令和7年度)
月別の求人賃金(月額) 27.5万円 ハローワーク求人統計(令和8年9月)
賃金(年収) 443.6万円 令和7年賃金構造基本統計調査
平均年齢 36.2歳 令和7年賃金構造基本統計調査
就業者数 202,540人 令和2年国勢調査

有効求人倍率4.39倍は、ハローワークで仕事を探す人1人に対して、4件を超える求人がある状態です。全職業の1.20倍と比べると、3倍以上の差があります。

なお、job tagの統計データは、その職業だけの数字を表すとは限らないと注記されています。近い職業を含む職業分類の数字として読みます。

新卒の供給:国家試験の合格者は4,947人

第61回作業療法士国家試験は2026年2月23日に行われ、受験者5,426人のうち4,947人が合格しました。合格率は91.2%で、新卒者に限ると96.6%です。

毎年一定数の新卒者が生まれる一方で、活躍の場は地域福祉の分野にも広がっています。新卒の採用では、養成校とのつながりと、実習の受け入れが差になります。

将来の需給:2040年頃に供給が需要の約1.5倍という推計

厚生労働省の需給分科会(2019年)は、理学療法士と作業療法士を合わせた供給数が需要数を上回っていると示しました。2040年頃には、供給数が需要数の約1.5倍になると推計しています。

ただし、これは全国・全分野を合わせた推計です。足元のハローワーク統計では4.39倍で、募集を出せば人が集まる状態ではありません。将来の推計と、目の前の採用の難しさは分けて考えます。

作業療法士の働き先と仕事の範囲

作業療法士は、体や心に障害のある人に、食事や家事、遊び、スポーツなどの作業を通じて訓練や援助を行う専門職です。国家試験に合格し、免許を得る必要があります。

主な勤務先は、病院、リハビリテーションセンター、障害者施設、障害児の施設、介護老人保健施設などです。訪問系の事業所や保健所で働く人もいます。一般的に夜勤はありませんが、施設によっては宿直があります。

同じ作業療法士でも、身体障害、精神障害、発達障害、高齢期など、得意な分野が分かれます。求人票では、どの分野の、どの段階の支援をお願いしたいのかを最初に書きます。

応募が来る求人票の書き方

作業療法士は、求人を比べて選べる立場にあります。仕事の中身が想像できない求人は、比べる段階で外されます。次の順で書きます。

  1. 対象者と分野:急性期・回復期・生活期、精神科、小児など
  2. 1日の流れ:1日に担当する人数の目安、訓練と記録の時間の配分
  3. 体制:作業療法士の人数、理学療法士・言語聴覚士との連携、指導役の有無
  4. 教育:入職後の同行期間、研修、院外研修への参加の支援
  5. 働き方:休日、残業の目安、宿直やオンコールの有無、訪問時の移動手段
  6. 給与:基本給、資格手当、昇給の考え方
  7. 変更の範囲:将来の業務や勤務地の変更の範囲

7番目の変更の範囲は、2024年4月1日から募集時に明示が必要になった事項です。業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期契約を更新する場合の基準を書きます。

求人票の記入例

次の表の数字は記入の例です。自社の実態に置き換えて使います。

項目 伝わりにくい例 伝わる例
仕事内容 作業療法業務全般 回復期病棟で、脳血管疾患の方の日常生活動作の訓練を担当します。1日の担当は8名前後です。
体制 アットホームな職場 作業療法士4名、理学療法士6名、言語聴覚士2名です。新人には1年間、指導担当がつきます。
教育 研修制度あり 入職後1ヶ月は、先輩と同じ患者を担当します。院外研修の参加費は年2回まで負担します。
働き方 残業少なめ 残業は月平均5時間前後です。記録は勤務時間内に書けるよう、時間を確保しています。

求人票全体の組み立て方は、求人票の書き方で詳しく解説しています。

作業療法士の採用に向く媒体

経験者と新卒では、届く経路が違います。目的に合わせて組み合わせます。

媒体 向く場面 注意点
ハローワーク 地域で経験者を募集する 仕事内容の欄を具体的に書く
養成校への求人票 新卒の募集 実習や見学の受け入れとセットにする
医療・福祉の専門求人サイト 転職を考える経験者に届けたい 掲載料金と課金の仕組みを比べる
人材紹介 急ぎの欠員補充 成功報酬の料率と返金の規定を確認する
職員の紹介 定着しやすい人を探したい 紹介した職員への謝礼のルールを先に決める
自院・自社の採用ページ 他の媒体から見に来た人への説明 1日の流れと職場の写真を載せる

人材紹介の費用の考え方は人材紹介の手数料相場、職員の紹介制度の作り方はリファラル採用の進め方で解説しています。

選考で見るポイント

作業療法士の選考では、資格の有無よりも、どの分野で何を経験してきたかを具体的に確認します。

  1. 経験した分野と対象者:疾患、年齢層、病期
  2. 評価から計画までの考え方:一つの事例をもとに、目標の立て方を説明してもらう
  3. チームでの連携:医師、看護師、介護職、家族との情報共有の方法
  4. 記録の書き方:記録にかけている時間と工夫
  5. 今後の希望:分野を変えたいのか、同じ分野で経験を深めたいのか
確認したいこと 質問の例
分野の経験 これまで担当した方で、印象に残っている事例を教えてください。
計画の立て方 目標を立てるとき、本人や家族の希望をどう取り入れていますか。
連携 他の職種と意見が分かれたとき、どのように調整しましたか。
転職の理由 次の職場で増やしたい経験は何ですか。

面接の前に見学を入れると、職場との相性を応募者自身が確かめられます。内定後の辞退を減らすことにもつながります。辞退への備えは内定辞退を防ぐ方法も参考にしてください。

採用代行の現場で見えること

医療・介護の中小規模の事業所では、作業療法士を理学療法士と同じ求人票で募集している例がよくあります。「リハビリスタッフ募集」とまとめると、作業療法士は自分の専門を活かせるのか判断できません。職種ごとに求人票を分け、作業療法士に任せたい支援を書くと、応募者からの質問も具体的になります。

よくある失敗は、応募が来てから日程の連絡までに数日かかることです。売り手市場の職種では、応募者は同時に複数の職場へ応募しています。返信が遅れる間に、他の職場の見学が先に決まります。応募から24時間以内に連絡し、見学の候補日を3つ出す運用を先に決めておきます。

もう一つは、見学の担当者が決まっていないことです。現場の作業療法士が対応できる日を先に押さえ、見学では1日の流れと記録の時間を実際に見せます。給与などの条件は人事担当が、仕事の中身は現場が説明すると、応募者にとって分かりやすくなります。

よくある質問

作業療法士の有効求人倍率はどのくらいですか?

job tagに掲載されたハローワーク求人統計(令和7年度)では4.39倍です。全職業の令和7年度平均1.20倍を大きく上回ります。近い職業のデータを含む場合があります。

新卒の作業療法士を採用するには何から始めればよいですか?

養成校への求人票の送付と、実習や見学の受け入れから始めます。第61回の国家試験は2026年2月23日に行われました。内定は国家試験の合格を条件にします。

理学療法士と同じ求人票で募集してもよいですか?

職種ごとに分けるのが基本です。作業療法士に任せたい対象者や分野が書かれていないと、応募者は自分の専門を活かせるか判断できません。

作業療法士の採用を外部に任せることはできますか?

求人票の作成、媒体の運用、応募者への連絡、日程調整は任せられます。助っ人人事は面接以外の採用業務を月額定額で代行し、全国オンラインで対応します。

助っ人人事は月額15万円(税抜)から、面接以外の採用業務をすべて代行する月額定額制の採用代行サービスです。何名採用しても追加費用は0円、最短1週間で開始できます。

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