結論:警備員は、施設警備で有効求人倍率3.59倍、交通誘導では47.97倍の人手不足の職種です。勤務の形と研修の流れを具体的に書き、シニアや未経験者にも届く媒体で募集します。選考では体力よりも、時間を守ることと報告の確実さを確認します。
警備員の採用は、現場に出る前の研修が法律で決まっている点が他の職種と違います。この記事では、厚生労働省と警察庁の統計で採用市場を確認します。あわせて、警備業法のルール、求人票の書き方、向く媒体、選考のポイントを解説します。
警備員の採用市場を数字で見る
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は、警備員を2つの職業に分けて掲載しています。主な数字は次のとおりです。
| 項目 | 施設警備員 | 雑踏・交通誘導警備員 |
|---|---|---|
| 有効求人倍率(令和7年度) | 3.59倍 | 47.97倍 |
| 求人賃金・月額(令和7年度) | 21.3万円 | 22.5万円 |
| 賃金・年収(令和7年賃金構造基本統計調査) | 379.9万円 | 335.3万円 |
| 平均年齢(同) | 53.8歳 | 56.6歳 |
| 就業者数(令和2年国勢調査) | 374,690人 | 84,720人 |
全職業の有効求人倍率は、令和7年度平均で1.20倍です。施設警備員でも約3倍、雑踏・交通誘導警備員は約40倍にあたります。ハローワークで仕事を探す人に対して、求人が大きく上回っています。
なお、job tagの統計データは、その職業だけの数字を表すとは限らないと注記されています。近い職業を含む職業分類の数字として読みます。
警備業界の全体像
警察庁の「令和7年における警備業の概況」によると、令和7年12月末の状況は次のとおりです。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 警備業者数 | 10,949業者(前年比138業者増) |
| 警備員数 | 596,985人(前年比9,137人増) |
| うち女性 | 45,304人(7.6%) |
| 警備員100人未満の業者 | 9,885業者(90.3%) |
警備業者の9割は警備員100人未満の規模です。大手と同じ媒体に同じ条件で並ぶと、知名度で比べられやすくなります。
警備員の年齢構成
| 年齢 | 警備員数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 30歳未満 | 65,028人 | 10.9% |
| 30〜39歳 | 52,968人 | 8.9% |
| 40〜49歳 | 78,479人 | 13.1% |
| 50〜59歳 | 118,001人 | 19.8% |
| 60〜64歳 | 75,001人 | 12.6% |
| 65〜69歳 | 78,496人 | 13.1% |
| 70歳以上 | 129,012人 | 21.6% |
60歳以上の3つの区分を合わせると282,509人で、警備員全体の約47%です(警察庁の数字から計算)。70歳以上だけでも21.6%を占めます。
採用では、シニアが働き続けられる勤務の組み方と、若い世代の入口づくりの両方が必要です。30歳未満の警備員のうち、女性は18.9%です。年代が上がるほど女性の割合は下がります。
警備業務の4つの区分と募集の違い
警備業法では、警備業務を1号から4号に分けています。どの業務の人を募集するのかで、向く人も勤務の形も変わります。
| 区分 | 主な業務 | 実施する業者の割合 |
|---|---|---|
| 1号警備業務 | 施設警備、巡回、保安、空港保安、機械警備 | 63.7% |
| 2号警備業務 | 交通誘導、雑踏警備 | 80.1% |
| 3号警備業務 | 現金などの貴重品や核燃料物質等の運搬の警備 | 5.8% |
| 4号警備業務 | 人の身体の安全を守る警備(緊急通報サービスを含む) | 6.4% |
割合は警備業者の総数10,949業者に対するもので、複数の区分を行う業者はそれぞれに数えています。2号の交通誘導を行う業者は75.3%で、もっとも多くなっています。
施設警備は同じ場所に常駐する勤務が中心で、交通誘導は現場ごとに勤務地が変わります。求人票は業務ごとに分けます。
採用前に押さえる警備業法のルール
警備員の採用では、一般の職種にない確認事項があります。
- 18歳未満の人は警備員になれません。警備業法で定める欠格事由に当たらないかも確認します。
- 現場に出る前に、20時間以上の新任教育を受ける必要があります。単日のアルバイトでも同じです。
- 入社後は、年度ごとに現任教育を行います。一般の警備員は年間10時間です。
- 警備員検定(交通誘導警備業務、施設警備業務など)は1級と2級があり、取得者を優遇する会社もあります。
現任教育は、2019年8月30日の警備業法施行規則の改正で、半年ごとから年度ごとに変わりました。新任教育も、一般の警備員は合計30時間から20時間になりました。
求人票には、新任教育の日程と、研修期間中の給与の扱いを書きます。研修の時間と給与が分からないと、未経験者は応募をためらいます。
応募が来る求人票の書き方
警備員の求人は、どの会社も「未経験歓迎」「シニア活躍中」と書くため、違いが伝わりにくくなります。次の項目を具体的に書きます。
- 業務の区分:施設警備か、交通誘導か、雑踏警備か
- 勤務地:常駐先の場所、または現場の範囲と集合場所
- 勤務の形:日勤・夜勤・当務(24時間勤務)の有無、1回の勤務時間
- 働く日数:週何日から働けるか、希望の出し方
- 研修:新任教育の日程と場所、研修中の給与
- 給与:日給または月給、夜勤手当、資格手当、支払日
- 装備:制服や備品の貸与、交通費の扱い
- 変更の範囲:将来の業務や勤務地の変更の範囲
8番目の変更の範囲は、2024年4月1日から募集時に明示が必要になった事項です。有期契約で雇う場合は、契約を更新する場合の基準も書きます。
求人票の記入例
次の表の数字は記入の例です。自社の実態に置き換えて使います。
| 項目 | 伝わりにくい例 | 伝わる例 |
|---|---|---|
| 仕事内容 | 警備業務全般 | 駅前のオフィスビルで、受付と館内の巡回を担当します。巡回は1回30分で、1日4回です。 |
| 勤務の形 | シフト制 | 日勤は8時から17時です。週3日から働けます。夜勤は希望する人だけが担当します。 |
| 研修 | 研修あり | 入社後に本社で新任教育を3日間行います。研修中も日給を支払います。 |
求人票全体の組み立て方は、求人票の書き方で解説しています。
警備員の採用に向く媒体
警備員は、正社員とパート・アルバイトで応募者の層が分かれます。雇用形態ごとに媒体を選びます。
| 媒体 | 向く場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| ハローワーク | 地域のシニアや再就職を考える人に届けたい | 勤務の形と研修を具体的に書く |
| 求人検索エンジン | パート・アルバイトを地域で集めたい | 勤務地と働く日数を検索されやすい言葉で書く |
| アルバイト求人サイト | 学生や副業の人に届けたい | 掲載料金と課金の仕組みを比べる |
| 社員の紹介 | 定着しやすい人を探したい | 紹介した社員への謝礼のルールを先に決める |
| 自社の採用ページ | 他の媒体から見に来た人への説明 | 現場の写真と1日の流れを載せる |
時給の決め方は、最低賃金の引上げと採用への影響で解説しています。
選考で見るポイント
警備員の選考では、経験の有無よりも、仕事を続けられるかと、決まりを守れるかを確認します。
- 時間を守れるか:集合時間や交代の時間に遅れない
- 報告ができるか:異常を見つけたときに、決められた手順で連絡できる
- 勤務の形が合うか:夜勤や屋外の勤務、立ち仕事を続けられる
- 通勤できるか:現場までの移動手段と時間
- 欠格事由に当たらないか:入社の手続きで確認する
| 確認したいこと | 質問の例 |
|---|---|
| 時間の守り方 | 朝早い勤務の日は、どのように準備していますか。 |
| 報告 | 前の仕事で、上司に急いで報告した場面を教えてください。 |
| 勤務の希望 | 夜勤や屋外の勤務は、月に何回までなら続けられますか。 |
採用代行の現場で見えること
中小の警備会社でよく起きるのは、応募から新任教育までの間に連絡が途切れることです。新任教育の日程が月に1〜2回しかないと、面接から研修まで2週間以上空くことがあります。その間に他社の研修が先に始まり、辞退につながります。面接の場で研修の日を決め、前日に確認の連絡を入れる流れにします。
もう一つの失敗は、交通誘導の募集で勤務地を「各現場」とだけ書くことです。応募者は、毎日どこへ行くのか、集合場所までどう移動するのかを知りたいと考えています。主な現場の範囲と、集合場所から現場への移動の方法を書くだけで、問い合わせへの対応も減ります。
シニアの応募者には、週の勤務日数を選べることを最初に伝えます。若い応募者には、検定の取得の支援や、隊長などの役割に進む道を示します。同じ求人票で両方に届けようとせず、伝える順番を変えた求人を分けて出すと、反応の違いを比べられます。
よくある質問
警備員の有効求人倍率はどのくらいですか?
job tagのハローワーク求人統計(令和7年度)では、施設警備員が3.59倍、雑踏・交通誘導警備員が47.97倍です。全職業の令和7年度平均は1.20倍です。
未経験の人を警備員として採用できますか?
採用できます。警備員になるのに特定の学歴や資格は必要ありません。ただし、18歳未満の人は警備員になれず、現場に出る前に20時間以上の新任教育を受ける必要があります。
警備員の採用で応募を増やすには何から見直せばよいですか?
業務の区分、勤務地、勤務の形、研修の日程と給与を求人票に書いているかを確認します。施設警備と交通誘導の求人を分けるだけでも、応募者が比べやすくなります。
警備員の採用を外部に任せることはできますか?
求人票の作成、媒体の運用、応募者への連絡、日程調整は任せられます。助っ人人事は面接以外の採用業務を月額定額で代行し、全国オンラインで対応します。
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