結論:コールセンタースタッフの有効求人倍率は0.83倍(令和7年度)で、人は集めやすい職種です。課題は定着です。シフトの選択肢、研修期間、困った電話の引き継ぎ先を求人票に書き、電話面接とロールプレイで見極めます。
コールセンタースタッフは、電話やメールなどを通じて顧客と応対する仕事です。job tagでは「コールセンターオペレーター」として紹介されています。仕事は、顧客からの電話を受けるインバウンド業務と、顧客に電話をかけるアウトバウンド業務に分けられます。
この記事では、厚生労働省の統計をもとに、中小企業がコールセンタースタッフを採用する手順を解説します。求人票の記入例、向く採用経路、選考で見るポイント、定着のための体制づくりまでまとめました。
コールセンタースタッフの採用市場をデータで見る
job tagの「コールセンターオペレーター」に掲載されている主な数値は次のとおりです。
| 項目 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 有効求人倍率 | 0.83倍 | ハローワーク求人統計(令和7年度) |
| 求人賃金(月額) | 23.7万円(前年度差0.5万円) | ハローワーク求人統計(令和7年度) |
| 賃金(年収) | 407万円 | 令和7年賃金構造基本統計調査 |
| 短時間労働者の1時間あたり賃金 | 1,431円 | 令和7年賃金構造基本統計調査 |
| 月の労働時間 | 154時間 | 令和7年賃金構造基本統計調査 |
| 平均年齢 | 43.6歳 | 令和7年賃金構造基本統計調査 |
| 就業者数 | 292,540人 | 令和2年国勢調査 |
job tagは、統計データが必ずしもこの職業だけを表すものではないと注記しています。短時間労働者の賃金には、残業代や賞与は含まれていません。
直近の月次データでは、令和8年9月の有効求人倍率(季節調整値)は全体で1.19倍でした。職業別(常用、パート含む)では、事務従事者が0.37倍です。厚生労働省編職業分類で、コールセンターオペレーターは事務的職業の「電話・インターネットによる応接事務の職業」に分類されます。
1倍を下回る職種のため、求人を出せば応募は集まりやすい傾向です。一方で、job tagで実際に働く人に尋ねた就業形態の回答を見ると、派遣社員や契約社員の多さが目立ちます。
| 就業形態 | 回答の割合 |
|---|---|
| 派遣社員 | 36.5% |
| 契約社員、期間従業員 | 30.8% |
| 正規の職員、従業員 | 25.0% |
| パートタイマー | 25.0% |
複数の回答があるため、合計は100%を超えます。有期の契約で働く人が多い職種では、契約の更新や働き方の見通しを求人票で示すことが定着につながります。
インバウンドとアウトバウンドで求人を分ける
厚生労働省編職業分類でも、受付が中心の「コールセンターオペレーター」と、電話営業などの「テレフォンアポインター」は別の職業です。仕事の中身が違う求人を1つにまとめると、応募者が想定と違うと感じ、早期退職につながります。
| 種類 | 主な業務 | 向く人 | 求人票で書くこと |
|---|---|---|---|
| インバウンド(受信) | 注文、問い合わせ、修理受付などの電話を受ける | 相手の話を聞いて整理するのが得意な人 | 扱う商品、1日の受電件数の目安、マニュアルの有無 |
| アウトバウンド(発信) | 既存顧客への案内、アンケート、アポイントの獲得などで電話をかける | 断られても気持ちを切り替えられる人 | 架電先(既存顧客か新規か)、目標件数、成果に応じた手当の有無 |
求人票の書き方と記入例
求人票では、シフト、研修、困った電話への対応の3点を具体的に書きます。応募者が働き方を想像できると、入社後のギャップが小さくなります。
| 項目 | 記入例(インバウンド・契約社員) |
|---|---|
| 職種名 | コールセンタースタッフ(受信専門/通販の注文・問い合わせ受付) |
| 仕事内容 | 通販のお客様からの注文や、配送状況の問い合わせを電話で受け付けます。営業の電話はありません。 |
| 1日の受電件数の目安 | 1人あたり40〜60件 |
| 勤務時間・シフト | 9:00〜21:00の間で実働4〜8時間。週3日から相談可 |
| 研修 | 入社後10日間の座学と模擬応対。その後は先輩が隣で支援します |
| 困った電話への対応 | 対応が難しい電話は、すぐにリーダーへ引き継げます |
| 契約期間・更新の基準 | 6ヶ月ごとの更新。勤務成績と業務量で判断します |
| 業務の変更の範囲 | 雇入れ直後:受信業務。変更の範囲:会社の定める業務 |
| 就業場所の変更の範囲 | 雇入れ直後:本社コールセンター。変更の範囲:会社の定める場所 |
記入例の件数や期間は一例です。自社の実態に合わせて書き換えます。
2024年4月1日から、求人票に明示する労働条件に3点が加わりました。「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準」です。契約社員やパートで募集することが多いコールセンターでは、更新の基準を漏らさず書きます。
職業安定法では、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示が禁止されています。厚生労働省のリーフレットは、虚偽の表示の例として、正社員と謳いながら実際はアルバイト・パートの求人である例を挙げています。実際より高い賃金を掲載する例も同じです。時給の幅を書くときは、最低額と昇給の条件もあわせて書きます。
向く採用経路
| 採用経路 | 向くケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 求人検索エンジン(Indeed、求人ボックスなど) | パートや契約社員を地域で広く集めたい場合 | シフトの条件を職種名や仕事内容の冒頭に入れます |
| アルバイト・パート向けの求人媒体 | 短時間勤務の人を集めたい場合 | 掲載期間と費用を事前に確認します |
| 人材派遣 | 繁忙期だけ席数を増やしたい場合 | job tagでも、派遣会社に登録して派遣される形態が多いと紹介されています |
| ハローワーク | 地域で長く働ける人を採りたい場合 | 仕事内容と研修を具体的に書きます |
| リファラル採用 | 今いるスタッフの知人で、シフトが合う人を採りたい場合 | 紹介者への謝礼のルールを先に決めます |
パートやアルバイトで募集するときのコツはパート・アルバイト採用のコツで解説しています。
選考で見るポイント
コールセンタースタッフの選考では、声と聞く力を実際に確かめる工程を入れます。
- 電話での一次面接:最初の面接を電話で行い、声の聞き取りやすさと受け答えを確かめます。応募者には事前に電話面接であることを伝えます。
- 5分のロールプレイ:注文の受付や配送の問い合わせなど、実際に近い場面を演じてもらいます。要点を復唱して確認できるかを見ます。
- PC操作の確認:通話しながら入力する仕事のため、文字入力と画面操作に慣れているかを確かめます。
- シフトの確認:働ける曜日と時間帯、繁忙期の勤務の可否を具体的に確かめます。
| 見るポイント | 質問例 |
|---|---|
| 聞く力 | 「相手の話が長いとき、どうやって要点をつかみますか」 |
| 切り替え | 「強い口調で話されたあと、次の電話にどう向き合いますか」 |
| 正確さ | 「聞き間違いを防ぐために工夫していることはありますか」 |
| 続ける意思 | 「この仕事で、どんな働き方を続けたいですか」 |
job tagでは、関連する資格はないとしたうえで、敬語や電話応対を体系的に学べるテレコミュニケーター検定が役立つと紹介しています。資格は必須にせず、研修で身につける前提で採用するのが現実的です。
定着のための体制づくり(カスハラ対策の義務化)
job tagの実際に働く人の回答では、一般的な就業者と同じように働けるまでの期間は「1ヶ月超〜6ヶ月以下」が40.4%でした。「1ヶ月以下」は23.1%です。戦力になるまで数ヶ月かかる人が少なくないため、早期退職を防ぐことが採用コストを抑える近道です。
2026年10月1日から、改正労働施策総合推進法により、事業主にカスタマーハラスメント対策の措置が義務付けられました。厚生労働省は、方針の明確化と周知、相談窓口の設置と周知、事実確認と再発防止、特に悪質なケースへの対処方針と体制の整備などを求めています。
コールセンターで具体的に決めておきたいのは次の点です。
- 対応を打ち切ってよい言動の基準と、打ち切るときの言い方
- リーダーや責任者への引き継ぎ方法(保留、転送、折り返し)
- つらい電話のあとに相談できる窓口と、休憩を取れる仕組み
- 相談したことを理由に不利益な取扱いをしないこと
こうした体制は、求人票と面接で説明します。困った電話をひとりで抱えなくてよいことが伝われば、未経験の応募者も安心して応募できます。
採用代行の現場で分かっていること
採用代行の現場では、コールセンターの採用について「人は集まるが定着しない」という相談が目立ちます。原因として多いのは、求人票と実際の仕事のずれです。たとえば受信専門と書いていたのに、手が空く時間帯に販売の電話をかける仕事が入っていると、数週間で辞める人が続きます。
次に多いのが、研修の期間を短く書きすぎることです。早く戦力にしたい気持ちから「研修3日」と書くと、未経験者は不安を感じて応募を控えます。実際に独り立ちまでかかる日数を書いたほうが、入社後のギャップは小さくなります。
中小企業では、採用のたびに面接官が変わり、評価の基準がそろわないこともよくあります。ロールプレイの台本と評価表を1枚にまとめ、誰が面接しても同じ基準で判断できるようにすると、採用後のばらつきが減ります。応募が多い職種だからこそ、日程調整や連絡の速さが採用の結果を左右します。
よくある質問
コールセンタースタッフの採用は難しいですか?
job tagの有効求人倍率は0.83倍(令和7年度)で1倍を下回り、応募は集まりやすい職種です。難しいのは定着です。シフト、研修、困った電話の引き継ぎ先を求人票に書き、入社後のギャップを減らします。
派遣と直接雇用はどちらがよいですか?
繁忙期だけ人数を増やしたいなら派遣、長く働く人を育てたいなら直接雇用が向きます。job tagでも、派遣会社に登録して派遣される形態が多いと紹介されています。リーダー候補だけ直接雇用で採るなど、組み合わせる方法もあります。
未経験者を採用するときの研修期間の目安は?
job tagの回答では、一般的な就業者と同じように働けるまでの期間は「1ヶ月超〜6ヶ月以下」が40.4%でした。座学と模擬応対のあと、先輩が隣で支援する期間を設けると、独り立ちまでの不安を減らせます。
電話面接では何を確かめればよいですか?
声の聞き取りやすさ、質問への答え方、要点を復唱して確かめる習慣を見ます。面接官は台本と評価表を用意し、全員に同じ質問をします。応募者には、電話面接であることと所要時間を事前に伝えます。
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関連ページ
出典
- 厚生労働省 job tag「コールセンターオペレーター」
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)について」
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)参考統計表」
- ハローワークインターネットサービス「厚生労働省編職業分類(事務的職業)」
- 東京労働局 ハローワーク「求人票に明示する労働条件が新たに3点追加されるのでご留意ください」
- 厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」(改正職業安定法 求人企業向けリーフレット)
- 厚生労働省「改正労働施策総合推進法等の施行によるカスタマーハラスメント及び求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止対策の強化について」
- 厚生労働省 Webマガジン「従業員を守るために ― カスタマーハラスメント対策の新ルール」