結論:歯科衛生士の採用は、求人票で任せる業務と終業時刻を具体的に書き、ブランクのある人や時短希望の人にも門を開くと、応募が集まりやすくなります。有効求人倍率は2.78倍で、医院が選ばれる側です。新卒だけに頼らず、経験者の復職まで視野に入れて計画します。
歯科衛生士の採用市場をデータで見る
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)と統計で、歯科衛生士の市場を確認します。
| 項目 | 数値 | 時点・出典 |
|---|---|---|
| 有効求人倍率 | 2.78倍 | 令和7年度、job tag |
| 求人賃金(月額) | 26.2万円 | 令和7年度、job tag |
| 賃金(年収) | 396万円 | 令和7年賃金構造基本統計調査を加工、job tag |
| 平均年齢 | 36.4歳 | 令和7年賃金構造基本統計調査を加工、job tag |
| 就業歯科衛生士数 | 149,579人(令和4年比4,396人増) | 令和6年末、衛生行政報告例 |
| 就業場所が診療所の割合 | 90.6% | 令和6年末、衛生行政報告例 |
| 国家試験の合格者数 | 7,452人(合格率94.5%) | 第35回、令和8年3月実施 |
働く歯科衛生士は増えていますが、求人はそれ以上にあります。有効求人倍率2.78倍は、求職者1人に対して3件近い求人がある状態です。
年齢を見ると、就業者で最も多いのは25〜29歳の13.4%です。一方、40歳以上を合計すると全体の53.6%になります。国家試験の合格者は第35回で7,452人です。新卒だけを狙うと競争が激しいため、経験者や復職者をどう迎えるかが分かれ目です。
採用の前に確認したい歯科衛生士法のルール
歯科衛生士は、法律で業務の範囲が決まっている国家資格です。求人票や配置を考える前に、次の点を確認します。
| 条文 | 内容 | 採用で気をつけること |
|---|---|---|
| 第2条第1項 | 歯科医師の指導の下で、付着物・沈着物の除去や薬物の塗布などの予防処置を行う | 求人票の仕事内容に、任せる予防処置の範囲を書く |
| 第2条第2項・第3項 | 歯科診療の補助と、歯科保健指導を業とできる | 補助と保健指導の比率、訪問の有無を書く |
| 第13条 | 歯科衛生士でなければ、第2条第1項の業務を行ってはならない | 内定者の免許証を確認し、免許を受ける前は予防処置に就かせない |
| 第13条の7 | 歯科衛生士でない者は、紛らわしい名称を使ってはならない | 助手と歯科衛生士の求人を分け、職種名を混同しない |
応募が集まる歯科衛生士の求人票の書き方
歯科衛生士の求職者は、仕事内容と働き方を細かく比べます。特に見られるのは次の項目です。
| 項目 | 書き方のポイント |
|---|---|
| 仕事内容 | 予防処置、診療補助、保健指導の比率、担当制かどうか、訪問歯科の有無 |
| 診療体制 | ユニット数、歯科医師と歯科衛生士の人数、1人あたりの1日の担当患者数の目安 |
| 勤務時間 | 始業と終業の時刻、片付けを含めた実際の退勤時刻、残業の月平均 |
| 給与 | 基本給と手当の内訳、昇給の基準、賞与の算定方法 |
| 休日 | 休診日、年間休日、有給休暇の取り方 |
| 働き方 | 時短勤務、週3日などのパート、扶養内の可否、ブランクからの復帰 |
| 教育 | 入職後の研修の内容と期間、院外研修の費用の扱い |
求人票の記入例です。数字は自院の条件に置き換えてください。
「業務は予防処置が〇割、診療補助が〇割です。担当制で、1日の担当は〇名程度です。診療終了は〇時で、片付けを含めた退勤は〇時ごろです。ブランクのある方は、最初の〇か月は先輩と組んで担当します。」
「アットホームな医院です」のような書き方では、他院との違いが伝わりません。退勤時刻や担当人数のような、比べられる情報を書くほうが応募は集まります。求人票全体の作り方は求人票の書き方で解説しています。
歯科衛生士の採用に向く媒体・経路
新卒、経験者、復職者で向く経路が違います。複数を組み合わせて使います。
| 経路 | 向く対象 | 注意点 |
|---|---|---|
| 歯科衛生士養成機関への求人 | 新卒 | 学校ごとに求人の受付時期が違う。見学の受け入れ日を早めに用意する |
| 歯科医療職向けの求人サイト | 経験者、転職希望者 | 掲載医院が多い。仕事内容と退勤時刻を具体的に書く |
| 求人検索エンジン・総合求人サイト | 近隣で探す人、パート希望者 | 職種名に「歯科衛生士」と勤務形態を入れる |
| ハローワーク | 地域の求職者、復職を考える人 | 仕事内容の欄に、業務の比率と研修の内容を書く |
| 自院の採用ページ | 医院名で調べる人 | 院内の様子と1日の流れを載せる |
| スタッフからの紹介 | 学校の同期、以前の職場のつながり | 紹介の流れと謝礼のルールを先に決める |
採用ページの作り方は採用サイトの作り方、パート採用の工夫はパート・アルバイト採用のコツで解説しています。
選考で見るポイントと進め方
歯科衛生士の選考は、医院の雰囲気と業務の進め方を見てもらうことが大切です。次の順で進めます。
- 医院見学:診療中の様子と、歯科医師・スタッフの関わり方を見てもらう
- 面接:経験した業務と、これから伸ばしたい分野を聞く
- 業務内容のすり合わせ:担当制の有無、1日の流れ、退勤時刻を具体的に説明する
- 条件の確認:給与の内訳、休日、時短やパートの条件を書面で示す
- 内定と免許の確認:免許証の原本を確認し、入職日と研修計画を決める
| 見る項目 | 確認の方法 | 質問の例 |
|---|---|---|
| 経験した業務 | 面接で具体的に聞く | 「これまで担当したメンテナンスの流れを教えてください」 |
| 患者への説明力 | 保健指導の進め方を聞く | 「歯磨きが続かない患者さんに、どう説明しますか」 |
| チームでの働き方 | 見学時のやりとり | 「歯科医師と意見が違ったとき、どうしましたか」 |
| 長く働く条件 | 希望の勤務時間、通勤、家庭の事情 | 「今後、働き方を変えたい時期はありますか」 |
ブランクのある歯科衛生士を迎える手順
40歳以上が半数を超える職種なので、子育てなどで現場を離れた経験者は大きな採用対象です。受け入れの手順を決めておくと、応募のハードルが下がります。
- 求人票に「ブランク可」と、復帰後の研修の内容を書く
- 入職前の見学で、使う器具や機器を実際に見てもらう
- 最初の数週間は、先輩と組んで診療補助から始める
- 予防処置の担当は、院内で手技を確認してから段階的に増やす
- 短い面談を定期的に行い、勤務時間や業務量を調整する
採用代行の現場で分かっていること
歯科医院の採用では、院長が診療中で応募の電話に出られないことがよく起きます。折り返しが診療後になり、その間に応募者が別の医院の見学を決めてしまいます。歯科衛生士は複数の医院に並行して応募することが多く、最初の連絡の速さが結果を左右します。
もう一つ多いのが、求人票の仕事内容が「歯科衛生士業務全般」だけになっている例です。応募者は担当制か、訪問があるか、何時に帰れるかを知りたがっています。これが書かれていないと、見学や面接で初めて条件を知り、辞退につながります。
手順として効果が出やすいのは、応募の受付、返信、見学と面接の日程調整を院長の手から離すことです。院長は見学の案内と面接だけを担当します。採用担当がいない医院でも、この分け方なら診療を止めずに選考を進められます。進め方は採用担当がいない中小企業の採用代行活用法でまとめています。
よくある質問
歯科衛生士の有効求人倍率はどのくらいですか
厚生労働省のjob tagでは、令和7年度の有効求人倍率は2.78倍です。求職者1人に対して3件近い求人があり、医院が選ばれる状況です。
新卒の歯科衛生士の採用はいつ動けばよいですか
第35回の国家試験は令和8年3月1日に行われ、3月26日に合格が発表されました。学校ごとに求人の受付時期が違うため、早めに養成機関へ問い合わせ、見学の受け入れ日を用意します。
免許を受ける前の新卒者に予防処置を任せられますか
任せられません。歯科衛生士法第13条では、歯科衛生士でなければ予防処置を業として行えません。入職時に免許証を確認し、免許を受けるまでは別の業務を担当してもらいます。
歯科衛生士の採用を外部に任せることはできますか
できます。助っ人人事は、面接以外の採用業務を月額15万円(税抜)から代行します。求人原稿、媒体の運用、応募者への連絡、日程調整を任せ、医院は見学と面接に集中できます。
助っ人人事は月額15万円(税抜)から、面接以外の採用業務をすべて代行する月額定額制の採用代行サービスです。何名採用しても追加費用は0円、最短1週間で開始できます。