結論:美容師の採用は、求人票で給与の決まり方とデビューまでの教育を具体的に書き、見学と技術チェックを選考に入れると、応募と定着の両方が進みます。美容所は増え続けており、若い美容師の取り合いが続いています。
美容師の採用市場をデータで見る
まず、厚生労働省が公表している数字で市場の状況を確認します。美容所の数も、働く美容師の数も増えています。
| 項目 | 数値 | 時点・出典 |
|---|---|---|
| 美容所数 | 281,687施設(前年度比1.4%増) | 令和8年3月末、衛生行政報告例 |
| 従業美容師数 | 596,942人(前年比8,651人増) | 令和8年3月末、衛生行政報告例 |
| 新規の美容師免許取得者数 | 19,261人 | 令和7年度 |
| 生活衛生サービス職業従事者の有効求人倍率 | 3.22倍(全体は1.25倍) | 令和6年10月 |
| 理容所・美容所に就職した養成施設卒業者が3年以内に退職した割合 | 40.9%(1年以内は19.7%) | 令和6年8月調査 |
従業美容師数を美容所数で割ると、1施設あたり約2.1人です。小さな店が多く、1人の採用が店の売上に直結します。
生活衛生サービス職業従事者は、美容師や理容師などを含む職業の区分です。有効求人倍率は全体の2倍を超えており、求職者が店を選ぶ状況です。
国勢調査では、34歳までの美容師は平成22年の103,700人から、令和2年には85,470人に減りました。約18%の減少です。新卒や若手だけに絞ると、採用はさらに難しくなります。
採用の前に確認したい美容師法のルール
美容師の採用では、免許と美容所の届出に関わるルールを押さえておく必要があります。主なものは次のとおりです。
| 条文 | 内容 | 採用で気をつけること |
|---|---|---|
| 美容師法第6条 | 美容師でなければ、美容を業としてはならない | 内定者の免許証を確認し、免許を受ける前は美容の業務に就かせない |
| 美容師法第7条 | 美容所以外の場所で美容の業をしてはならない(政令で定める例外あり) | 訪問や出張を業務に含めるなら、例外に当たるかを事前に確認する |
| 美容師法第11条 | 開設の届出に、管理美容師その他の従業者の氏名を含める | 入社や退職で届出の変更が要るかを、管轄の保健所に確認する |
| 美容師法第12条の3 | 美容師である従業者が常時2人以上の美容所は、管理美容師を置く | 1人店から2人目を採用する時点で、管理美容師の要否を確認する |
東京都の案内では、管理美容師になるには、免許を受けた後に3年以上美容の業務に従事し、知事が指定した講習会を修了する必要があります。2人目の採用で管理美容師が必要になる場合、オーナー自身が要件を満たしているかを先に確かめます。
応募が集まる美容師の求人票の書き方
美容師の求職者は、複数の店の求人を並べて比べます。比べられて困る項目ほど、具体的に書くことが大切です。
求人票に書く項目
| 項目 | 書き方のポイント |
|---|---|
| 職種 | スタイリストとアシスタントを分けて募集する。求める経験も分けて書く |
| 給与 | 固定給と歩合の内訳、歩合の計算に使う売上の範囲(技術・店販・指名)を書く |
| 教育 | デビューまでの目安期間、練習の時間帯、練習が勤務時間に含まれるかを書く |
| 勤務時間・休日 | 営業時間、シフトの決め方、定休日、年間休日を書く |
| 店の特徴 | 客層、席数、メニューの価格帯、得意な施術を書く |
| 働き方 | 時短勤務、業務委託、ブランクからの復帰など、選べる働き方を書く |
練習時間の扱いは特に見られます。厚生労働省のガイドラインでは、使用者の指示で業務に必要な学習等を行った時間は労働時間に当たります。営業後の練習を指示するなら、勤務時間として扱う前提で求人票と給与を設計します。
記入例(アシスタント募集)
「デビューまでの目安は〇年です。カットは〇か月目、カラーは〇か月目から練習を始めます。練習は営業時間内に行い、勤務時間に含みます。給与は固定給〇万円で、デビュー後は固定給に指名売上の〇%を加えます。」
数字は自店の実際の条件に置き換えてください。根拠のない「頑張り次第で高収入」より、計算方法を書いた求人のほうが質問も辞退も減ります。書き方の全体像は求人票の書き方でまとめています。
美容師の採用に向く媒体・経路
経験者か新卒か、正社員か時短かで、向く経路が変わります。
| 経路 | 向く対象 | 注意点 |
|---|---|---|
| 美容師養成施設(美容学校)への求人 | 新卒アシスタント | 学校ごとに求人の受付時期や見学の受け入れ方が違う。早めに問い合わせる |
| 美容業界向けの求人サイト | 経験者、スタイリスト | 掲載店が多く比較されやすい。給与と教育を具体的に書く |
| 求人検索エンジン・総合求人サイト | 近隣で探す人、ブランクのある人 | 職種名に「美容師」「スタイリスト」を入れて検索に載りやすくする |
| ハローワーク | 地域の求職者、ブランクのある人 | 仕事内容の欄に、教育の流れと給与の内訳を書く |
| SNS(Instagram、Threadsなど) | 店の雰囲気や作品で選ぶ人 | スタッフの日常や教育の様子を継続して発信する |
| スタッフからの紹介 | 同じ学校や前の店のつながり | 紹介の流れと謝礼のルールを先に決める |
SNSの始め方はSNS採用の始め方、紹介の進め方はリファラル採用の進め方で解説しています。
令和7年度には19,261人が新たに美容師免許を取りましたが、全員が美容所で働き続けるわけではありません。免許を持ちながら現場を離れた人に向けて、短時間勤務や復帰研修を用意すると、競合の少ない層に届きます。
選考で見るポイントと進め方
美容師の選考では、面接だけで技術と相性を判断するのは難しいです。次の順で進めると、双方の見込み違いが減ります。
- 店舗見学:営業中の店を見てもらい、客層と雰囲気を確かめてもらう
- 面接:将来の希望(スタイリスト、店長、独立など)と、働き方の条件を聞く
- 技術チェック:経験者はウィッグやモデルでの施術を見る。内容と所要時間は事前に伝える
- 条件のすり合わせ:給与の計算例を見せ、デビューまでの計画を一緒に確認する
- 内定と免許の確認:免許証の原本を確認し、入社日を決める
| 見る項目 | 確認の方法 | 質問の例 |
|---|---|---|
| 技術の水準 | 技術チェック、作品写真 | 「得意な施術と、苦手な施術を教えてください」 |
| 接客の姿勢 | 見学時のふるまい、面接での受け答え | 「印象に残っているお客様とのやりとりは何ですか」 |
| 成長の意欲 | 練習の習慣を聞く | 「デビュー後に伸ばしたい技術は何ですか」 |
| 長く働く条件 | 希望の休日、通勤、将来像 | 「3年後にどんな働き方をしていたいですか」 |
定着までを採用計画に入れる
理容所・美容所に就職した養成施設卒業者のうち、1年以内に19.7%、3年以内に40.9%がその店を退職しています。採用の成否は、入社後の1年で決まると考えたほうが現実的です。
- デビューまでの段階と、各段階の合格基準を紙に書いて渡す
- 指導役の先輩を1人決め、週に1回は短い面談をする
- 練習の時間と内容を記録し、勤務時間として扱う
- 歩合や昇給の計算方法を、入社時にもう一度説明する
内定から入社までの連絡の取り方は、内定辞退を防ぐ方法で詳しく解説しています。
採用代行の現場で分かっていること
美容室のような小さな店の採用では、同じつまずき方がよく起きます。多いのは、オーナーがスタイリストを兼ねていて、応募への返信が営業後や定休日にずれ込むことです。美容師は複数の店に同時に応募することが多く、返信が遅れた店から候補から外れていきます。
次に多いのが、求人票の給与欄が「経験・能力により優遇」だけになっている例です。応募者は歩合の計算方法が分からず、面接で初めて条件を知って辞退します。固定給と歩合の内訳、デビュー後の計算例を書くと、条件の合わない応募が減り、面接の時間を有効に使えます。
手順として効果が出やすいのは、応募の受付、返信、見学と面接の日程調整を、オーナーの手から離すことです。オーナーは見学の案内、面接、技術チェックだけに集中します。この分け方にすると、営業を止めずに選考の速度を保てます。採用担当がいない店の進め方は、採用担当がいない中小企業の採用代行活用法でまとめています。
よくある質問
美容師免許を受ける前の学生を採用できますか
内定を出すことはできます。ただし、美容師法では美容師でなければ美容を業とできないため、免許を受けるまでは美容の業務に就かせられません。美容に当たらない業務の範囲は、管轄の保健所に確認してください。
管理美容師はどのような店で必要ですか
美容師である従業者が常時2人以上いる美容所では、管理美容師を置く必要があります。東京都の案内では、免許を受けた後に3年以上の実務経験があり、指定の講習会を修了した人がなれます。
練習時間は勤務時間に含めるべきですか
店の指示で練習をさせる場合は、勤務時間として扱う前提で考えます。厚生労働省のガイドラインでは、使用者の指示で業務に必要な学習等を行った時間は労働時間に当たります。
美容師の採用を外部に任せることはできますか
できます。助っ人人事は、面接以外の採用業務を月額15万円(税抜)から代行します。求人原稿の作成、媒体の運用、応募者への連絡、日程調整を任せ、店は見学と面接に集中できます。
助っ人人事は月額15万円(税抜)から、面接以外の採用業務をすべて代行する月額定額制の採用代行サービスです。何名採用しても追加費用は0円、最短1週間で開始できます。