結論:Webデザイナーは求職者が多く、応募は集まりやすい職種です。採用の成否は、任せる範囲を先に決め、ポートフォリオと実技課題で見極められるかで決まります。ハローワークの統計では、デザイナーを含む職業の有効求人倍率は0.15倍です(2026年9月)。
Webデザイナーの採用市場を数字で確認する
厚生労働省の統計では、Webデザイナーを含むデザイナー職は、求人より求職者が多い状況です。2026年9月の「美術家,デザイナー,写真家,映像撮影者」の有効求人倍率は0.15倍でした。有効求人数3,890人に対し、有効求職者数は26,039人です。求人1件あたり約6.7人の求職者がいる計算になります。
同じ表の職業計は1.08倍です。全体と比べても、デザイナーは応募を集めやすい職種といえます。
| 指標 | 数値 | 出典・時点 |
|---|---|---|
| 有効求人倍率(美術家,デザイナー,写真家,映像撮影者) | 0.15倍 | 一般職業紹介状況 2026年9月 |
| 有効求人倍率(職業計) | 1.08倍 | 一般職業紹介状況 2026年9月 |
| 有効求人倍率(job tag「Webデザイナー」) | 0.11倍 | job tag 令和7年度 |
| 求人賃金(月額) | 28.2万円 | job tag 令和7年度 |
| 賃金(年収) | 539.6万円 | job tag(令和7年賃金構造基本統計調査を加工) |
| 平均年齢 | 39.1歳 | job tag(令和7年賃金構造基本統計調査を加工) |
2026年9月の数値は、パートを含む常用の値です。job tagの統計は対応する職業分類全体の値で、Webデザイナーだけの数字とは限りません。どちらもハローワークの求人と求職者をもとにした数字です。
job tagの就業者アンケートでは、一般的な就業形態として「自営、フリーランス」を挙げた割合が62.3%でした。「正規の職員、従業員」は39.6%です。業務委託で頼む方法も比べる価値があります。
採用の前に決めること:任せる範囲と雇用形態
「Webデザイナー」といっても、担当する範囲は会社によって大きく違います。範囲を決めずに募集すると、応募者の経験と仕事が合わず、入社後のずれにつながります。
| 任せる範囲 | 主な仕事 | 選考で確認すること |
|---|---|---|
| バナー・広告画像 | 広告やSNS用の画像制作、サイズ違いの展開 | 制作の速さ、ブランドの統一感 |
| LP・ページ制作 | 構成案をもとにページのデザインを作る | 情報の整理、見出しと導線の設計 |
| サイト全体の設計 | サイト構造、画面設計、デザインルールの作成 | 設計の考え方、関係者との調整 |
| コーディング・更新 | HTML・CSSでの実装、CMSでの更新 | 実装できる範囲、更新作業の経験 |
中小企業では、1人に複数の範囲を任せることが多くなります。その場合は「主に任せる範囲」と「できれば任せたい範囲」を分けて書きます。応募者が自分の経験と照らし合わせやすくなります。
正社員か業務委託か
毎月の制作量が一定で、社内の事情を理解してほしいなら正社員が向きます。制作の量が時期によって偏る場合や、LP1本などの単発の依頼なら業務委託も選べます。
個人のフリーランスに業務委託する場合は、フリーランス・事業者間取引適正化等法に沿って進めます。2024年11月1日に施行された法律で、主な義務は次のとおりです。
- 業務を委託したら直ちに、取引条件を書面または電磁的方法で明示する(すべての発注事業者)
- 報酬の支払期日を、成果物を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間で定める(従業員を使用する発注事業者など)
- 募集情報を出すときは、虚偽や誤解を生む表示をせず、正確で最新の内容に保つ(従業員を使用する発注事業者など)
求人票の書き方と記入例
応募が集まりやすい職種ほど、求人票の書き方で応募者の質が変わります。仕事の範囲や使う道具を具体的に書くと、合わない応募が減ります。
| 項目 | 記入例 | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 職種名 | Webデザイナー(自社サービスのLP・バナー制作) | 担当範囲を括弧で添える |
| 仕事内容 | 自社サービスのLPとバナーの制作。構成はマーケティング担当が作り、デザインと更新を担当します。 | 誰と何を分担するかを書く |
| 使用ツール | Figma、Photoshop、WordPress | 実際に使う道具だけを書く |
| 応募条件 | 必須:Webデザインの実務経験、またはそれに相当する制作物。歓迎:HTML・CSSでの実装経験 | 必須と歓迎を分ける |
| 提出物 | ポートフォリオ(担当範囲の記載があるもの) | 担当範囲の明記を求める |
| 給与 | 月給◯万円〜◯万円(経験とスキルにより決定) | 幅と決め方を示す |
| 業務の変更の範囲 | 雇入れ直後:Webデザイン業務 変更の範囲:会社の定める業務 | 2024年4月から明示が必要 |
2024年4月1日から、求人票には3つの事項の明示が加わりました。「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準」です。有期契約で募集する場合は、更新の基準も書きます。書き方の全体像は求人票の書き方で解説しています。
応募を集める経路の選び方
Webデザイナーは応募が集まりやすい一方で、経験の幅が広い職種です。数を集める経路と、経験者に絞る経路を使い分けます。
| 経路 | 向く場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 掲載型の求人媒体 | 未経験者も含めて広く集めたい | 書類選考の工数がかかる |
| スカウト型の媒体 | 特定の経験を持つ人に絞りたい | 候補者を探す時間が必要 |
| ハローワーク | 費用をかけずに地域で募集したい | 情報が少ないと埋もれやすい |
| 社員紹介(リファラル) | 社内や取引先に人脈がある | 謝礼などの社内ルールを決める |
| 業務委託 | 単発の制作や繁忙期だけ頼みたい | 取引条件の明示などの義務を守る |
媒体ごとの料金の仕組みは、Wantedlyの料金やGreenの料金の記事で整理しています。
選考で見るポイント
Webデザイナーの選考は、ポートフォリオ、面接、実技課題を組み合わせると見極めやすくなります。進め方の例は次のとおりです。
- 書類選考:ポートフォリオで、担当範囲と制作の目的が書かれているかを見る
- 一次面接:制作の進め方、修正依頼への対応、関係者とのやり取りを聞く
- 実技課題:自社の仕事に近いお題を、所要時間の目安とあわせて出す
- 最終面接:任せる範囲と評価の方法をすり合わせる
ポートフォリオで確認する3点
- 担当範囲:デザインのみか、構成や実装まで担当したか
- 目的と工夫:誰に何を伝えるために、どう作ったか
- 修正の経緯:最初の案から何を変え、なぜ変えたか
チームで作った制作物は、本人の担当部分が分かりにくくなります。面接で「どこからどこまでを担当したか」を具体的に聞きます。
資格は判断材料の1つにする
job tagでは、Webデザイナーの入職に特に学歴や資格は必要とされないとしています。一方で、デザインの基礎知識と技術は必要です。
関連する国家検定に、ウェブデザイン技能検定があります。3級はWebの作成や運営に従事している人や、従事しようとしている人が受検できます。2級は2年以上の実務経験など、1級の学科試験は7年以上の実務経験などが条件です。資格は必須にせず、歓迎条件として扱うと応募の幅を狭めずにすみます。
採用代行の現場で分かっていること
中小企業のWebデザイナー採用でよく起きるのは、応募は来るのに決めきれないという状況です。社内にデザインを評価できる人がいないことが、原因になりがちです。社長や営業担当が見た目の好みで選び、入社後に「LPの構成を考えられない」「更新作業が想定より遅い」と分かる例があります。
失敗を防ぐには、選考の前に評価の基準を書き出します。たとえば「目的に沿った情報の整理」「修正への対応の速さ」「自社のトーンへの合わせ方」の3項目を決めます。書類と課題の両方を、同じ基準で見ます。
実技課題は、所要時間の目安を伝え、提出物の使い道を事前に説明します。課題の負担が大きすぎると、ほかの会社の選考を優先され、辞退につながります。
応募が多い職種では、書類選考と日程調整に時間をとられます。採用担当が兼務の会社では、書類の一次確認や候補者への連絡を外部に任せ、社内は面接と最終判断に集中する方法もあります。
よくある質問
Webデザイナーは未経験者でも採用できますか。
job tagでは、入職前の実務経験を「特に必要ない」とする回答が39.6%です。未経験から入る人もいる職種です。育成を担当する人と、最初に任せる制作物を決めてから募集します。
求人倍率が低いのに、採用が難しいと感じるのはなぜですか。
2026年9月は、デザイナーを含む職業で求人1件あたり約6.7人の求職者がいます。応募は集まりやすい一方で、経験の幅が広いため、自社の仕事に合う人を見極める手間がかかります。
ポートフォリオがない応募者はどう判断すればよいですか。
社内制作だけの人や未経験者は、公開できる制作物がないことがあります。その場合は短い実技課題を出すか、過去の制作の進め方を面接で具体的に聞いて判断します。
助っ人人事は月額15万円(税抜)から、面接以外の採用業務をすべて代行する月額定額制の採用代行サービスです。何名採用しても追加費用は0円、最短1週間で開始できます。