結論:Webマーケターの採用は、任せる領域を先に1つ決め、実績の数字がどう生まれたかを選考で確かめることが成否を分けます。job tagでは、この職業の有効求人倍率は0.47倍です(令和7年度)。
Webマーケターの採用市場を数字で確認する
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)には「Webマーケティング(ネット広告・販売促進)」の統計があります。令和7年度の有効求人倍率は0.47倍でした。全職業の令和7年度平均は1.20倍です。ハローワークの数字では、求人より求職者のほうが多い状態です。
| 指標 | 数値 | 出典・時点 |
|---|---|---|
| 有効求人倍率(job tag「Webマーケティング」) | 0.47倍 | job tag 令和7年度 |
| 有効求人倍率(全職業の年度平均) | 1.20倍 | 一般職業紹介状況 令和7年度 |
| 求人賃金(月額) | 27.3万円 | job tag 令和7年度 |
| 入職前の実務経験「特に必要ない」 | 44.4% | job tag 就業者アンケート |
| 就業形態「正規の職員、従業員」 | 61.1% | job tag 就業者アンケート |
| 就業形態「自営、フリーランス」 | 37.0% | job tag 就業者アンケート |
job tagの統計は、対応する職業分類全体の値です。Webマーケターだけの数字とは限りません。有効求人倍率と求人賃金は、ハローワークの求人と求職者をもとにした数字です。
求職者が多い数字でも、自社が求める経験を持つ人が多いとは限りません。任せる範囲を絞り、その範囲の経験者に届く募集の仕方を考えます。
採用の前に決める「任せる範囲」
job tagは仕事の例に、SNSなどのWeb広告による集客、アクセス解析、SEO、リスティング広告を挙げています。これらをすべて1人に求めると、当てはまる人はかなり限られます。
| 領域 | 主な仕事 | 実績を聞くときの指標 |
|---|---|---|
| SEO・コンテンツ | キーワード選定、記事の企画と改善 | 検索からの流入数、問い合わせ数 |
| 広告運用 | リスティング広告やSNS広告の設定と改善 | 獲得単価、広告費の規模 |
| SNS運用 | 投稿の企画、アカウントの運用 | サイトへの流入や問い合わせへのつながり |
| アクセス解析・改善 | 数値の分析、サイトの改善提案 | 成約率の変化と、施策との対応 |
| 全体設計 | 予算の配分、施策の優先順位づけ | 売上や問い合わせへの影響 |
小さな会社では、最初の1人に「全体設計」と「1つの領域の実務」を任せる形が現実的です。どの領域で成果を出してほしいかを1つ決めると、求人票と選考の基準がぶれません。
正社員か外部への委託か
job tagでは、一般的な就業形態として「自営、フリーランス」を挙げた割合が37.0%です。広告運用など特定の領域を外部に任せ、社内の担当者は全体の管理に集中する分け方もあります。
個人に業務委託する場合は、フリーランス・事業者間取引適正化等法(2024年11月1日施行)の対象です。委託したら直ちに、取引条件を書面または電磁的方法で明示します。
求人票の書き方と記入例
Webマーケターの求人票では、目標の指標、予算の規模、裁量の範囲を書きます。経験の合う人が、自分に合う仕事かを判断しやすくなります。
| 項目 | 記入例 | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 職種名 | Webマーケター(広告運用とサイト改善) | 主な領域を括弧で示す |
| 仕事内容 | 自社サービスの問い合わせを増やすための広告運用、LPの改善提案、月次の数値報告 | 目的と業務をつなげて書く |
| 目標の指標 | 問い合わせ数と獲得単価 | 何で評価するかを明記する |
| 予算と裁量 | 月の広告費◯万円の範囲で、配分を決められます | 任せる範囲を具体的に書く |
| 応募条件 | 必須:Web広告またはSEOの実務経験。歓迎:数値をもとにした改善提案の経験 | 必須条件は絞る |
| 業務の変更の範囲 | 雇入れ直後:Webマーケティング業務 変更の範囲:会社の定める業務 | 2024年4月から明示が必要 |
2024年4月1日から、求人票に3つの事項の明示が加わりました。業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準です。書き方の全体像は求人票の書き方で解説しています。
応募を集める経路の選び方
Webマーケターは職種名の幅が広く、応募者の経験の差が大きい職種です。広く集める経路と、経験者を狙う経路を組み合わせます。
| 経路 | 向く場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 掲載型の求人媒体 | 若手や未経験者も含めて集める | 経験の差が大きく、見極めに手間がかかる |
| スカウト型の媒体 | 特定の領域の経験者を狙う | 予算規模や裁量を文面で伝える |
| 社員や取引先の紹介 | 広告代理店や制作会社との付き合いがある | 取引関係への影響に配慮する |
| 業務委託 | 広告運用など領域を絞って任せる | 成果物と報告の範囲を取り決める |
媒体の料金の仕組みは、ビズリーチの料金やWantedlyの料金の記事で整理しています。
選考で見るポイント
Webマーケターの選考では、実績の数字そのものより、その数字がどう生まれたかを確認します。進め方の例は次のとおりです。
- 書類選考:担当した領域、予算の規模、指標の変化が書かれているかを見る
- 一次面接:成果が出た施策と、うまくいかなかった施策の両方を聞く
- 課題:自社の公開情報をもとに、改善案を短くまとめてもらう
- 最終面接:入社後に取り組むことと、評価の指標をすり合わせる
面接で聞きたい質問の例
- その成果のうち、あなたが決めたことと、チームや代理店が決めたことは何ですか
- 予算が半分になったら、どの施策を残しますか
- 数値が悪くなったとき、最初に何を確認しましたか
- 広告の表示で気をつけていることは何ですか
広告の表示ルールの理解も確かめる
2023年10月1日から、広告であることが分からない表示(ステルスマーケティング)は景品表示法の違反になりました。規制の対象は、商品やサービスを提供する事業者(広告主)です。
Webマーケターは、インフルエンサーへの依頼や口コミの施策を担当することがあります。選考の段階で、ルールへの理解を確認しておきます。
採用代行の現場で分かっていること
中小企業のWebマーケター採用で多い失敗は、「集客を全部任せたい」という期待のまま採用することです。入社後に広告もSEOもSNSも成果を求められ、どれも中途半端になる例があります。
もう1つの失敗は、前職の実績の数字だけで判断することです。大きな予算や整った体制で出した成果は、少ない予算と1人の体制では再現しにくいことがあります。面接では、予算の規模、関わった人数、自分が決めた範囲を確認します。
手順の例としては、採用の前に「入社後に何の数字を動かしてほしいか」を1つ決めます。次に、その数字を動かすのに必要な経験を逆算し、求人票の必須条件にします。採用担当が兼務の会社では、求人票の作成や候補者対応を外部に任せ、面接に時間を割く方法もあります。
よくある質問
Webマーケターは未経験者でも採用できますか。
job tagでは、入職前の実務経験を「特に必要ない」とする回答が44.4%です。未経験から入る人もいます。ただし、1人目として全体を任せるなら、実務経験のある人を優先します。
求人倍率0.47倍なら、採用は簡単ですか。
ハローワークの数字では、求職者のほうが多い状態です。ただしjob tagの統計は対応する職業分類全体の値で、自社が求める経験者の数を表すものではありません。任せる領域を絞って募集します。
広告運用は社員を採用するのと外部に委託するのと、どちらがよいですか。
施策が広告だけで予算も小さいなら、外部への委託も選べます。社員を置くなら、全体の数字を見て施策を選ぶ役割を任せると、委託先との分担もしやすくなります。
選考で課題を出すときの注意点は何ですか。
自社の公開情報だけで取り組める内容にし、所要時間の目安を伝えます。提出物を選考以外に使わないことを事前に伝えると、応募者が安心して取り組めます。
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