結論:営業職の採用は、募集する営業の種類を1つに絞り、顧客・商材・給与の内訳を求人票に具体的に書くと応募が集まりやすくなります。2026年8月の営業職の有効求人倍率は2.05倍で、職業計の約2倍の水準です。

営業職の採用市場:有効求人倍率のデータ

厚生労働省の一般職業紹介状況によると、2026年8月の常用(パート含む)の有効求人倍率は、「営業職業従事者」が2.05倍でした。職業計の1.06倍を大きく上回り、求職者1人に約2件の求人がある状態です。

職業 有効求人数 有効求職者数 有効求人倍率
職業計 2,028,673件 1,914,602人 1.06倍
営業職業従事者 72,132件 35,167人 2.05倍
商品販売従事者 101,258件 58,921人 1.72倍
営業・販売事務従事者 16,607件 18,864人 0.88倍

※2026年8月、常用(パート含む)。ハローワークを通じた求人・求職の数値で、民間の転職サイトの動きは含みません。全国の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で、職業別の値とは集計の基準が異なります。

営業職は求人が求職者を大きく上回る一方、営業・販売事務は求職者のほうが多い状態です。顧客対応の経験がある事務職の人に、内勤のインサイドセールスとして声をかける方法も選択肢になります。

営業職の採用がうまくいかない3つの理由

1. 「営業」の中身が伝わっていない

新規開拓かルート営業か、法人向けか個人向けかで、仕事の内容も向く人も大きく変わります。「営業スタッフ募集」とだけ書いた求人では、応募者は自分に合うかを判断できません。

2. 給与の内訳が分かりにくい

営業職の求人では、インセンティブや固定残業代を給与に含めることがあります。内訳が書かれていないと、ほかの求人と比べたときに不安を持たれます。固定残業代がある場合は、法令に沿った表示が必要です。

3. 面接で話のうまさを見てしまう

面接での受け答えが上手な人が、商談で成果を出せるとは限りません。成果を出すまでの過程を具体的に説明できるかを見ることが大切です。

まず募集する営業の種類を決める

求人票を書く前に、どの営業を募集するかを1つに絞ります。種類ごとの仕事と、向く経験は次のとおりです。

営業の種類 主な仕事 向く経験
新規開拓営業 見込み客を探してアポイントを取り、提案から受注まで進める 断られても行動量を保てた経験
ルート営業 既存の取引先を定期的に訪ね、追加の注文や困りごとに対応する 長い取引関係を保った経験
反響営業 問い合わせや来店のあった見込み客に提案する 短い時間で信頼をつくる接客の経験
インサイドセールス 電話やオンラインで見込み客と接点を持ち、商談をつくる 電話応対やカスタマーサポートの経験
カスタマーサクセス 契約後の顧客の活用を支え、継続や追加の契約につなげる 顧客対応やサポートの経験

営業職の求人票の書き方の例

営業職の求人票は、誰に何をどう売るかが伝わるように書きます。項目ごとの書き方の例は次のとおりです。基本の書き方は求人票の書き方でも解説しています。

項目 書き方の例
職種名 法人営業(中小企業向け業務システムの提案・既存顧客が中心)
顧客と商材 顧客の業種と規模、商材の内容と価格帯
営業のやり方 新規と既存の割合、訪問かオンラインか、見込み客の入り方(問い合わせ・紹介・リスト)
1日の流れ 出社から商談、社内での作業、退社までの例
目標と評価 目標の決め方(個人かチームか)と、評価に使う指標
給与 固定給、インセンティブの計算方法、固定残業代の内訳
変更の範囲 従事すべき業務と就業場所の変更の範囲

固定残業代を給与に含める場合は、次の3つを明示します。

  1. 固定残業代を除いた基本給の額
  2. 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
  3. 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨

また、2024年4月1日以降の求人では、「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準」の明示も必要になりました。

営業職の採用に向く媒体

方法 向く採用 使うときのポイント
求人検索エンジン 未経験者・若手を含む幅広い層 職種名に商材と顧客を入れ、検索される言葉に合わせる
転職サイト 営業の経験者 仕事内容と給与の内訳を具体的に書く
スカウト 同じ業界や似た商材の経験者 候補者の経歴に合わせて、文面を1通ずつ書く
人材紹介 管理職や専門性の高い商材の経験者 成功報酬のため、1人あたりの費用は高くなりやすい
社員からの紹介 社風に合う人 紹介の流れと謝礼の扱いを先に決める

媒体ごとの料金は、Indeedの料金、dodaの料金、ビズリーチの料金、人材紹介の手数料相場で整理しています。

選考で見るポイントと質問例

見るポイント 質問例
成果の再現性 一番大きかった受注について、最初の接点から受注までの流れを教えてください
数字の把握 月の商談数と受注率は、どのように数えていましたか
行動の修正 目標に届きそうにない月に、何を変えましたか
課題を聞く力 当社の商材を想定して、最初のヒアリングの部分だけを実演してください
失注からの学び 失注した商談から学び、次の商談で変えたことは何ですか

受注率や商談数は、会社によって数え方が違います。前職の数字を聞くときは、分母に何を入れていたかもあわせて確認します。数え方の違いは受注率とはで解説しています。

採用代行と営業管理ツール開発の現場で分かっていること

中小企業の営業職採用でよく起きるのは、「営業経験者なら誰でもよい」として募集し、入社後にやり方の違いで成果が出ないケースです。法人の新規開拓をしていた人と、個人向けの反響営業をしていた人では、得意な動き方が違います。募集の前に、自社で成果を出している営業の動き方を書き出しておくと、求人票と面接の質問を決めやすくなります。

もう1つ多い失敗は、入社後の育て方が決まっていないことです。案件の進み具合が担当者の頭の中にしかない会社では、新人は先輩が商談をどう進めているかを見られません。案件の段階と次の行動が記録されていると、新人に任せる案件を選びやすくなり、同行後の振り返りもしやすくなります。

手順の具体例としては、入社1か月目は先輩の商談への同行と記録、2か月目から既存顧客の対応、3か月目から新規の商談というように、任せる範囲を段階的に広げます。この計画を面接で伝えると、未経験者や異業種からの応募者の不安も減らせます。

よくある質問

営業職の未経験者を採用するときは何を見ればよいですか。

接客や顧客対応の経験と、目標に向けて行動を続けた経験を見ます。入社後に任せる仕事の順番を決めておくと、育成と定着を進めやすくなります。

営業職の求人票で給与はどう書けばよいですか。

固定給とインセンティブを分け、インセンティブの計算方法を書きます。固定残業代がある場合は、除いた基本給の額、時間数と金額の計算方法、超えた分を追加で支払う旨を明示します。

営業職の面接では何を聞けばよいですか。

受注までの流れを具体的に説明してもらい、成果の出し方に再現性があるかを確かめます。前職の受注率などの数字は、数え方もあわせて確認します。

営業職の採用業務を外部に任せることはできますか。

採用代行を使えば、求人原稿の作成、媒体の運用、スカウト、候補者への連絡や日程調整を任せられます。面接と採用の判断は自社で行います。

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